【2024年4月2日 追記・更新】
2022年6月23日に発売されたPS4、Steam、Xbox One、Xbox Series X|Sソフト『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』をクリアした感想・評価・攻略情報になります。項によってはネタバレ超注意です。
AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ とは
あなたが、わたしのAIを引き裂いた
最初に【右側】が発見されたのは、今から6年前のことだった。 中心からまっぷたつに切り裂かれた死体……。 当時どれだけ捜索しても、もう片方が見つかることはなかった。 それから6年後、行方がわからなかった【左側】が発見される。 時空を越えて現れた半分の死体……。 それはまったく腐敗しておらず、まるでついさっきまで生きていたかのようだった。 特殊捜査班ABISの新人捜査官であるみずきと龍木は パートナーの眼球型AI――アイボゥやタマとともに 過去と現在、夢と現実を行き交いながら この【ハーフボディ連続殺人事件】の真相を解き明かすべく捜査を始める。
プレイ人数:1人
ジャンル:アドベンチャー
CERO:C
前作『AI: ソムニウムファイル 』の続編です。前作はプレイ済み。
クリアした感想・評価
ノベル+謎解きアドベンチャー。プレイは簡単
この作品はどんなゲームなの? と聞かれたら、
キャラクターのやり取りを見るノベルゲーム
+
現実(捜査パート)&夢の中(ソムニウムパート)で事件の謎を解く手がかりを見つけるアドベンチャーゲーム
といった感じです。システムトレーラーを見ると難しそうな印象を受けるかもしれませんが、要はキャラ同士の会話を見て、気になるところに移動して調べるだけ。操作が簡単で、何をすれば良いのかわからないということがありません。
また、会話は早送りも出来ますし、いつでもログ(会話内容の一覧)を見ることも出来ます。ゲームのペースをプレイヤーに委ねてくれている点が、僕は大好きでした。
フルボイスなので声優さんの演技も見所の一つ
グラフィックで勝負している作品ではないですが、ムービー演出も凝っています(主人公のみずきが落下しながら銃を構えている一コマ)
キャラによって言葉遣いが違うのもポイント。ちなみに憐憫(れんびん)とは、気の毒に思う、かわいそうだと思うこと。
前作プレイ済みの方にとっては、大きな変化もなく、引き続きプレイしやすい内容と言えるでしょう。
ソムニウムパートは、キャラの掘り下げもあり、選択の難しさも伝わる
プレイヤーは警視庁の特殊捜査班「ABIS」に所属する二人の主人公みずきと龍木として、事件解決に挑む。
現実世界で現場検証や聞き込みを行う「捜査パート」と、重要参考人の夢に侵入する「ソムニウムパート」で構成されており、二つのパートを行き来しながら事件の真相を探る。
登場するキャラクターは、みな事件に関連した内容を隠しています。それは触れられたくない過去であったり、捜査官にバレると逮捕されてしまうからだったりと様々です。
捜査の一環として夢の中に入っていく流れが、ソムニウムパートになります。夢の中ではキャラ各々の世界観が広がっており、過去やトラウマが構成に影響を与えています。
こんな感じで人と人を繋いで夢の中へ入っていきます。
学校の遊具みたいな夢もあれば
脱出ゲームのような謎解きばかりの夢もあったり(攻略情報で回答を記述してます)。
ただ、答えがわからなくてもアイボゥが導いてくれますし、こんなんわかるか!! みたいなことは一度もありませんでした。
過去にされた人体実験がそのままトラウマになっており、拷問部屋を模した重苦しい夢も……。深刻度も様々です。
6分間の時間制限がありますが、時間切れになったり選択肢を間違えてもやり直せますし、前作と違って難易度の変更も可能。6分間の時間を、(ゲーム的に)より長くすることも出来ます。個人的にはやり直しが面倒だったので、イージー推奨です。
ソムニウムパートをクリアした後は、登場キャラクターへの理解=ゲームへの没入を深める側面がある点が好きでした。後のセリフが活きてきますし、やり取りが面白くなってくるのも◎。
僕は、時雨というキャラが大好きでした(後述)。
自分が良かれと思ってした選択が、尽く裏目に出る。何をやっても上手くいかない……成功体験の積み重ねが全く出来ず、自己肯定感がマイナス方向に深掘りされていく。。。
これは大学時代に出会って現在は連絡が取れなくなった僕の友人の話ですが、彼との会話を思い出させるような描写がありました。
袋小路に迷い込んで出られないことを自覚して追い詰められていく境遇というか、決して責められない。けれど、、、。
どのキャラにも過去があり、守りたいものがあり、優先すべき事情があります。それらをソムニウムパートを通して理解出来るのが今作の面白さでもあると考えます。
最終的には、制作側とキャラクターへの愛情を共有出来るような作品と言えるかもしれませんね。
ストーリーは後半にかけて面白くなる
本作の主人公である“みずき”と“龍木”の周りで発生する不可解な連続殺人事件。過去と未来、夢と現実が交差するとき、明らかになる真実とは……!?
ゲームは6年前からスタートして、キャラクターや事件の伏線を辿っていく感じ。不可解な連続殺人事件を捜査・解決するのが基本路線で、真END到達の道筋にもなっています。最終的には、6年前と現在の事件の伏線が一気に回収されるような流れ。
この伏線回収が上手に出来ており、終始没入感を失わずにプレイ出来ました。ニルヴァーナ構想とは何か、テアラァは誰なのかなど、最後はスッキリするので爽快感もありました。
事前の情報通り、今作の主人公はみずきですが、操作するのは主に後半。前半は6年前の事件を、龍木を操作して捜査します。
特定のキャラクターENDもあり、トロフィーやアイボゥの衣装が解禁されたり。フローチャートも前作より明瞭になっていました。
前作のように、謎や違和感が残らなかった点も◎。
前作はプレイしなくても大丈夫だが……
前作『AI: ソムニウムファイル』はプレイすべきか? と問われたら、個人的にはしなくて良いと答えます。
前作をプレイした方が細かい部分で楽しめるのは確かです。ただ、キャラ図鑑や用語説明なども充実しているので、今作から遊んでも大丈夫だと考えています。
個人的には、前作の主人公:伊達の下ネタが好きではなかったので(白けるというか、サムいな……と思う部分が多かった。制作のおっさん臭さがキャラを通して見えてくるようで辛かった)、今作の方が断然好きでしたね。
熱海エンド(ギャグ)は今作もあります。
鑑識のカガミさんも前作と同じツッコミしてくれます。
みずきの超人的身体能力についても、前作は生まれつきという説明のみ。今作はその秘密も明らかになっており、リアリティの部分は今作の方が上です(ネタバレになるので後述)。
回想の中にしか登場しなかったみずきの母。義眼のように目に入っている自律制御型ロボット・アイボゥの存在の説明がやや省かれていたり、もうちょい補足があっても良かったと思う部分もありました。
重苦しさもあるがギャグも多い。アイボゥは前作より断然面白い
伊達の下ネタは嫌いですが、アイボゥのボケが僕は大好き。ただ、この部分の評価もまた、人によって異なるでしょう。
リアクションが豊富です
ブランコを漕ぎながら靴飛ばし勝負をする一コマ。フォントで笑える。
料理修行する描写も好きでしたね。画像上は肉に塩を振っているところ。
ソムニウムパートでは、その辺のものを吸ったり吐いたり回ったり。。。今作のボケの7~8割をアイボゥが担当しています。
小ネタ・パロディが多い
ダンガンロンパは同じ会社なので、パロディではなく友情出演?
今作の評価が分かれるもう一つのポイント。ゲーム・漫画・アニメ・映画など、それなりに触れてきた方ならばわかるネタです。
あつまれ、成仏の揉み
セーラームーン
殺意の波動はストツーですよね。神々への挑戦の元ネタはロマサガっぽいです。
ウルトラマン
進撃の巨人の表紙でもやってた記憶あり
メルカリにバイクを出品して、現物を見たい→乗られたらそのまま盗まれた、みたいなニュースを思い出しました(詳細は知りませんが)
トキジクの実。春ゆきてレトロチカで何度も聞いた言葉です。検索をかけると、制作の方同士で対談していました(その記事は未読)。
絆っちが……。バイオ4のアシュリー(がブルドーザーを前触れ無く運転するところ)っぽいな……と連想してしまった一コマ。
QTEも良かった
何かと批判されがちなQTE(クイックタイムイベント)ですが、今作のQTEは今までプレイしたゲームで最も好きでした。具体的には、みずきの武器を使った攻撃時に力を溜める動作ですね。足首から膝へ、膝から腰へ、腰から肩へ、みたいに、パワーを伝えていくような感じが伝わるQTEは好きでした(バキのマッハ突きを思い出した)。
銃の照準を合わせてR2を押したり、敵の攻撃を避けたり、フツーのQTEもあります。
絆っちの歌のタイトルは『Harf to Whole』
半分だし~♪
最初は訳がわからないダンス曲も、クリアする頃には尊い気持ちで見ることが出来るはずです。耳に残る曲でした。
声優一覧
みずき:黒沢ともよ
アイボゥ:鬼頭明里
龍木:田丸篤志
タマ:加隈亜衣
イリス:白城なお
米治:松本忍
絆:陶山恵実里
厳:櫛田泰道
亜麻芽:久保田梨沙
祥磨:五十嵐裕美
時雨:沢海陽子
法螺鳥:小形満
ライアン:高橋英則
伊達:新垣樽助
応太:藤原夏海
ピュータ:後藤ヒロキ
ボス:甲斐田裕子
左岸瞳:大原さやか
ママ:三宅健太
など
その他・前作との比較も
前作よりもグロくない
前作はCERO:Z指定(18歳~のみ)でしたが、今作はCERO:C(15歳~OK)。前作はグラフィックレベルが高くないのに相当グロかったので、今作はこの面でもプレイしやすかったです。
マッドサイエンティストによる人体実験が今作のグロさのメイン。人体実験をされた悲痛な叫びなどはキツかった。
エロ・下ネタが減った
前作の主人公:伊達の登場が制限されたことで、下ネタが自然に減りました。これは個人的には物凄くが嬉しかったです。
高校生の時ならば笑えてたかもしれないネタの数々。
この答えは献血でしたが、僕は違うと思います。
タイトルが長すぎる
クリアした感想の一つで、個人的な見解ですが、、、タイトルのイニシアチブって必要があったのかわかりませんでした。そもそも、パッケージ&タイトルからどんなゲームか全くわからないですし、取っ付きにくい作品だと(相対的に)感じています。ニルヴァーナは作中でも重要な言葉なのでわかるのですが……。
カーソルの判定が厳しい部分あり
最もイライラしたポイント。画像上の日記の判定がなかなか分からず、カーソルをウロウロ→その都度、画像下のように監視が来てQTEを強制される始末。時間にして5分くらいですが、印象に残っています。
その他
- みずきのツンデレが減った。反抗期的なやり取りが全くなくなったため、相対的にみずきの魅力が減ったとも言える。
- 前作の終始暗いような雰囲気は、今作にはなし。雰囲気に波があるとも言える。
- ソムニウムパートの難易度が選べるようになった。前作は変更出来なかったため、やり直しが面倒だった。時間を気にせずに色々と調べることが出来るので、アイボゥの魅力がより伝わる。ボケが面白い方向に強化されていたのは本当に嬉しかった。
- バグによる強制終了が一度もなかった。前作はちょこちょこあった
前作のみずき
STEAM版で800円(記事執筆時点)だったので、購入してやり直してスクショ撮ってみました。
伊達の家でベンチプレスしてましたね
こういうリアクションは今作にはないですね
両親が虐待気味だったこともあり、愛(AI)に非常に敏感というか、飢えているような描写も。
かわいい
シナリオ面のネタバレ(クリア後に閲覧推奨・超注意)
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みずきの超人的な身体能力は、ゲノム編集によるもの(DNA操作みたいな)。生まれつきとしか前作では言及されていなかった。でも、設定の緻密さを考慮すれば、生まれつきじゃないことは分かっていたはず。
ゲノム編集された人間が数多く登場。巌さんは、亜麻芽との独自のエンディングがある(その終わり方は全然好きじゃなかった笑)。
不老不死の呪いと称されていたオールマイティの成功例は、祥磨くん。6年で見た目変わらず。
龍木がネエネを狙撃した理由は、テアラァにタマを人質にされていたこと。テアラァは伊達を排除したかったので、龍木を利用しようとしていた。また、TC-PERGEウイルスに感染していたのでおかしくなっていた。6年前の爆発に伊達やみずきを巻き込んだのが自分のせいだと自責の念を感じていたことなども。最後は抗体が出来ていた。
処刑場とは、大聖堂の西。テアラァによって爆破されたところ。
ニルヴァーナ構想とは……TC-PERGEウイルスがばら撒かれて空気感染。感染したものは脳がイカれる。ニルヴァーナトライアルの動画を見て暗号を解読した者は、大聖堂の東に集い、そこでウイルス感染させられるような流れ。動画を作った閏は死んだけど、計画は進行してる。
テアラァの正体は、閏(うるう)。
迅と同じタイプのDNAを持っていたがため、法螺鳥に監禁されて人体実験されて、おかしくなってしまった。法螺鳥が実現したかったことは、縦半分に切った人間をガッチャンコさせること(法螺鳥のソムニウムパートみたいな)
閏は時雨の愛を求めたが、時雨は法螺鳥との間に出来た子供である古衛迅を優先的に可愛がる。それ+法螺鳥に内臓を奪われていたので、法螺鳥と迅の二人を閏は憎んで殺害した。
だいたいこいつが悪い
閏は亜麻芽の父の芸人も殺しており、最後は(惚れていたと思われる)亜麻芽に殺さることに。前述した選択を考えさせられる部分は、亜麻芽のことです。
仮面の少女の正体は、みずきの試作品みたいな。通称ネエネ。Horizon2のアーロイとベータを思い出しましたね。
銃撃したのは、みずきにフツーの人生を送ってほしかったがゆえに、事件から遠ざけようとしたため。ゴム弾だったそう。
時雨のことが明確に好きになった一コマ。他のキャラは誰かに殺されそうな理由も描写もあったのですが、時雨にはそれがなかったんですよね。なので、誰に殺されたのか気になっていた伏線でしたが、予想外だった上にこの行動が時雨というキャラを象徴するようで、全くブレずにかっこいいな……と。声優さんの演技も好きでした。
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パスワードなど攻略情報(ネタバレ注意)
龍木パートのNonuple-Xのドア。4901095。足し算かと思ったら掛け算でしたね。
フリーメイソン・チュパカブラ・サブリミナル。この画像は、正解を入れたつもりで間違っていた一コマ。ちなみに、全問不正解でも大丈夫です。
上の名前はダリア(ファイルから見つけた) 下の名前はボート テアラァの本当の名前は、ダリア・ボート。5分くらい分からずに焦りました。
料理対決の後の風船の紙 ほらけんちか
ファ ミ ミ レ シ ラ ミ ソ
4 7 7 1 2 6 7 3
テアラァのソムニウム
MOM・HELP・ME
215
△とかひし形とか壁が消えるところ229
→(やじるし)を作って9・左右下上で9・上右上左右・999
R×G×B=LOVE(母の愛がほしい)・JIN(迅ばかり)
オールマイティ→仮面の少女のソムニウムパートのパソコンに入れる監禁パスワード。
特立競技場
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クリア時間・クリア後
28~29時間くらいでした。実際は放置していた時間もあるので、26時間くらいだと思います。速読が得意なので、R2でどんどんスキップしていました。
クリア後は、あまめの歌・絆の歌が解放。めだまっぺ(だまごっちみたいな)、ボーナス、衣装なども解放されます。
まとめ
パッケージやタイトルからどんなゲームかわかりにくいですし、見ているだけでは面白さが伝わらず、システム面も文字にするとややこしい……。キャラ絵の好みもあり、小ネタやパロディも多いので、相当人を選ぶんじゃないかな、と。価格設定も安くはないので、取っ付きにくさはあると思います。
僕は、前作よりも圧倒的に面白かったですが、真逆の評価の人もいるでしょう。
最初から最後まで楽めた要因としては、シナリオの面白さに加えて、時雨・アイボゥという二人のキャラのテンションが対極的というか、上手にゲームの雰囲気を融合しつつ作ってくれたからだと考えています。
シナリオもキャラも素晴らしいのでおすすめしたい気持ちはあるのですが、ここまで人を選ぶ作品もなかなかないと思うので、、、僕はこのように思った、としか言えない作品でした。
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