【2024年5月8日 追記・更新】
2022年3月3日に発売されたPS4・PS5ソフト『忘れられた都市 – The Forgotten City』の全エンディングをクリアした感想・評価・攻略情報などになります。項によっては超ネタバレ注意です。
忘れられた都市 – The Forgotten City とは
• 舞台は古代ローマ帝国の都市。正確な時代考証のなされたアートや建築物、衣装、風俗習慣に彩られたオープンワールドを探索しよう
• 分岐に富むマルチエンディングの、緊迫感あふれるミステリーに挑もう
• ディテールに富み、インタラクティブ性の高いキャラクターたちの人生に足を踏み入れよう
• 生死のかかった倫理的ジレンマに立ち向かおう
• 性別や出身、背景等を自由に選び、思い通りのキャラクターを操作しよう
• 論理、魅力、賄賂、脅迫、暴力、あるいはタイムループの賢い利用で、謎を解こう
プレイ人数:1人
CERO:Z
ジャンル:ミステリーアドベンチャー
“Skyrim”の人気MODのリメイク作の日本語版になります。
ゲームプレイの流れ↑↑公式動画です。世界観や黄金律の説明なども★
クリアした感想・評価
シナリオの構成美を感じる
古代ローマ帝国の神秘的な地下都市に囚われ、翻弄されながら生にしがみつく23人の命。不穏な空気が漂う理想郷、そして謎めいた黄金律。1人が黄金律を破ると、全ての住人が死に絶えるという。
あなたはタイムトラベラーとして2000年前の世界に引き寄せられ、無限ループのように住民の最期を繰り返し体験する。
都市の探索、住民への聞き込みによって都市の真実に迫ると、やがて繰り返される1日の行動も変化していく。都市にまつわる壮大な謎を解き明かすためにはタイムループを上手く利用し、時には道徳観に反する苦渋の決断を迫られる。その選択が全てを左右することになる。都市の運命を決めるのは、あなただ。
世界的な脚本家賞を受賞し、300万ダウンロードを突破した高評価のMODを再構築した作品……という事実をクリア後に知ったのですが、脚本賞を受賞しても何ら不思議のない素晴らしい構成でした。
クエストクリアが重なるごとにフラグが回収されますし、ネタバレ注意の項で後述していますが、クリア後は超気持ち良かったです。脳汁が出るは言い過ぎかもしれませんが、エンディングは最高に気持ちが良いものでした。
基本的にキャラはみな親切ですが……全員何かしらの秘密というか、初対面では引き出せない情報を持っています。
タイムリープを繰り返して状況を打開する
戦闘も可能だが、暴力には限界がある。個性あふれる人々が入り乱れた共同体に入り込んで調査をし、タイムループを賢く利用し、ハードな倫理的選択を行うことでしか、この壮大なミステリーは解き明かせない。全てはあなたの選択にかかっている。街の運命を決めるのはあなただ。
この世界には、黄金律と呼ばれる呪いのようなものが存在しています。それは、誰かが犯罪をすれば全員が黄金になってしまうというもの。即時に黄金化するわけではありませんが主人公が黄金になってしまうとゲームオーバーなので、そうなる前にタイムリープをしましょう。
タイムリープの扉を開いてくれるセンティウス。黄金律が発動すると猛ダッシュでこの位置までやってきます。
前述しましたが、キャラクターは全員何かしらの秘密というか、初対面では引き出せない情報を持っています。こちらが引き出しを持っていないと語らせることが難しいのは、現実と同じですよね。
なので、タイムリープを繰り返す過程で、情報を引き出すアイテムだったり、賄賂だったり、会話の駆け引きなんかをして打開していきます。下手をすると拒絶されてしまいますが、タイムリープすれば元通り。
クリアするためには、鍵を盗んだり、お金を盗んだりする必要があります(厳密には、誰かから奪われたものをその人に返すために盗むといった感じ)。
他にも例を挙げると、、、
プレイした当初、世界観もキャラもちんぷんかんぷんでした。最序盤では、画像上の女性から武装した男(画像下)↑↑がやってくるので何とかして! と言われますが、コイツに対抗する手段もなく、弓で殺されてしまい、訳がわからない状態でした。
ただ、一度ゲームオーバーになれば、弓で殺されない選択肢を選ぶ必要があることをプレーヤーは理解するはずです。そして、改めて武装した男と会話をした時に、嘘をついてとある場所へ誘導します。すると、瓦礫の下敷きになって、武装した男は死亡。クエストクリアになり、死体から弓と矢と金が手に入ります。弓が手に入ったことで、新しいイベントが発生します。
このように、一つずつ出来るクエストをクリアすることで、自動的にエンディングに辿り着けるようになっています。
クエストを追跡して、こんな感じでマークが出るものからやっていけばOK。フラグなどはわかりやすいです。
難易度は高くないが、キャラの名前を覚えるのが難しかった
ゲームの難易度は全然難しくはないです。ただ、キャラの区別が本当に難しかった。
個人的な内容になりますが、世界史に全く興味がなくて、~ティウスとか~ティヌスがどこで何をした ということを覚える意味も理由もマジでわからない、と高校生の時に考えていたことを思い出しました。
一応こんな感じのキャラの名簿表みたいのを貰えますが、まず覚えられませんでした。ただ、イベントをクリアしたら○○は△△だった人ね、という具合で覚えていきました。
なので、世界史に詳しい人の方がゲームに入っていきやすい点は間違いないでしょう。
黄金の像の謎も解ける
黄金の兵士たちは、こちらを襲ってきいます。しかし、なぜこのようになったのか、なぜ襲ってくるのか、黄金が剥がれた兵を黄金化するとなぜ感謝してくるのか。ちょっとした疑問に対してもしっかりと答えを用意しています。
細かい部分で疑問を残さない設定・シナリオも◎。黄金をキックした時の音も◎。
制作の人の趣向が出ていて面白い
このゲームの制作の方は、偉そうな相手や騙された相手、気に食わない相手に一杯食わせることが大好きです笑。例えば、この画像のアウレリアはお金が大好きでお金で男を判断します。クエストクリアするためにはお金を貯める手段もあるのですが、その時のやり取りでアウレリアのプライドをズタズタにするやり取りがあります。制作の人はこういう女性に恨みでもあるんかな? と思うくらい笑。
そちらが秘密を勝手に喋ったのででこれは黄金律には違反しませ~ん、うぇーい! バーカバーカ! ざまあみろ! みたいな煽りをした後の対応のスクショ。偉そうな人が大嫌いなんでしょうね笑。わからなくもないですが、個人的には、偏っとるなあ……という印象でした。
時代背景はしっかりしてるっぽい
世界史には興味もない上に詳しくもないのでよくわからないのですが、時代背景はしっかりしていると言えます(クリアすればわかる仕組みになっています)。
ガレリウスは有能
タイムリープ前の解決した問題であっても、タイムリープを一度してしまえば状況は元通りになるので、問題を解決する前に戻りますよね。なので、もう一度解決しなければならないのですが、、、そこはタイムリープして最初に出会うガレリウスが全て引き受けてくれます。あいつはあーだからこうしておいてくれ、みたいな指示を出せば、すぐにこなしてくれるんです。
なので、同じことを二度する必要がないという点もシナリオ面で優れています。また、このガレリウスに指示を出す行動が後々大きな伏線回収になる点も素晴らしいですね。
デメリットも
会話の日本語が堅苦しい
一応、ジャンルは謎解きアドベンチャーですが、ノベルゲームと評しても問題ないくらい会話が長め。そして、かたっくるしい。フランクな会話がほぼなく、基本的には堅苦しい会話が7~8割以上を占めます。時代背景や世界観に忠実とも言えますが。
僕は読書好きで読書に関しての記事もブログで書くくらいですが、それでもいちいち読んでいるとこちらが参ってしまうレベルで堅苦しいです。
なので、選択肢が表示されるまでスキップしまくってもOK。選んだセリフはグレーになり、まだ選んでないセリフは白で表示されます。繰り返しても同じことを言ってくれる場合が多いですし、キャラが会話を拒絶したらタイムリープすればOK。
哲学者が出てきますが、こいつの言葉はマジで堅苦しくてダルい(ちなみに僕は、池田晶子さんという哲学エッセイを書く作家さんが好きです笑)
MAPのロードがダルい部分がある
PS4版だけだと思われますが、扉前で扉先のMAPの読み込みロードがちょいちょい入ります。これ自体はそんなに問題ないのですが、シスターンという場所に入ったところでは大問題に。
街とシスターンの奥が暗所になっており、どちらかに寄ればロード開始して画面が止まるという事態が頻発します。とにかく暗くてどこにいるのかわからないのに、ロードで足止めされて更に訳がわからなくなる可能性が高いです。
幸いなのは、この大問題が終盤にあること。ここまでプレイしてきたプレーヤーならば大丈夫でしょう。
CERO:Zの表現が少ない
CERO:Zのゲームをやっていると、どういった部分が表現の対象なんだろうか……? とチェックする癖がついています。ですが、今作は全然グロくないもないし、エロくもありません。流血表現はあるっちゃありますが、吹き飛んだりするわけでもない。
強いて言えば、画像のように奴隷が当たり前の世界観だから という点だけ。しかもこれ、文字だけなんですよね。なので、色々と表現出来たのにもったいないな、と個人的には感じました。
地図がない
地図が表示されない。なので、何がどこにあるのか、誰がどこにいるのかがわからなかったです。プレイしていると自然に覚えますが、あった方が良かったですね(僕が回収してないだけかも)
初回限定特典がない
これだけキャラクターの背景がしっかりと設定してあるのに、名前の区別がしにくい・ゲームに入りにくいから、という理由で挫折してしまう人を出すのはもったいない。せめて、キャラクターの解説表みたいなモンでもあればなあ~と感じております。
公式の解説動画もありますが、もうちょっと踏み込んだ解説をしても良かった気もする
攻略情報の紹介
この動画は通してクリアまでしてる動画です↑↑
基本的には、クエストを□で設定→その場所に行く→解決する、といった流れでOKです。ただ、個人的にイライラしたポイントがあったのでそこを紹介しておきます。
黄金の弓を射てば、草や蔦を金に変化させて足場や手すり代わりとして利用することが出来ます。ただ、それ以外にも「ここ登れんけど、どうするん!!」と感じた箇所が2つありました。
一つは、木の弓と金の弓を交換するところ。灯台の火を消したところを足場にして登ればOK。
もう一つはこの先。黄金の弓を得た直後くらいのところですね。単純に、ジャンプで登りづらいので何度も繰り返せば登れます。判定がわかりづらい。
最序盤は、記憶喪失がおすすめかもしれない
ゲーム開始時に能力的なものを選ぶことが出来ます。別にどれを選んでも問題ないですが、記憶喪失がおすすめかもしれません。許容するダメージの上限が50%上がるとのことなので、ゴリ押しがラクになります。黄金兵の攻撃を受ける機会はそれなりに多く、地味にダメージが痛いと感じたからです。
囁き声には従おう
最初にウルピウスに出会った時、彼は思いつめており、ここから飛び降ります。ええ……とドン引きしていたら、あなたも飛び降りて、みたいな囁きが聞こえます。なので飛び降りると、鍵で施錠されていたマレオラスの屋敷に入ることが出来、彼としゃべることが出来ます。
マレオラスはこの方法でしか出会うことが出来ないので、シナリオ上必須ですね。
このゲームの親切な部分の一つですし、囁き声の正体も最終的にはわかるのも◎。
回復はルクレツィアか自動回復
黄金律が発動しても焦る必要はない
画面が灰色になって、。けれど、すぐに戻る必要はない。この状態でしか出来ないフラグ回収などは特にないので、ダメージを受けた時は隠れて回復した方が良い。
シスターンは最後になる
シスターンの場所は、大神殿の下。ここ↓↓から左に通じる道にあります。シスターンも、大神殿も、行くのは最後です。
金稼ぎ
・マレオラスの屋敷の2階のクラウディアがいるところ(鍵があれば入れるようになる)
・デキスウに金の弓を売って5000円を騙し取って逃げる
ただ、どっちも黄金律を破る行為なので注意。
マレオラスの屋敷から出る方法
マレオラスがいるところの左側の先端手前部分から、隣の敷地内に脱出出来ます。
クリア時間・クリア後
クリア時間は全エンディングを確認して12時間くらい。クリア後は特になし。
エンディングを語りたい(超ネタバレ注意!!)
この項を見ると、プレイする面白さが激減すると思われるので要注意です。
書いた理由としては、クリアした方と共感したい、という意図が大きいです。
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驚きましたね……!!
ガレリウス! エクイティアと良い関係になり、ドゥリを使用人として雇っているようです。
デキウスにプレーヤーが嘘をつく選択肢が面白い笑。株式投資をするからこれから伸びる業界を教えてくれ! と言われて、DVDのレンタル、テレビ放送、活字媒体のどれかに投資するように促す選択肢。一度騙された相手には容赦しない制作のキャラが伝わりますね笑。
囁き声の主のプロセルピナ。お疲れ様でした。
そして、、、
なんとなくプレイを始めて、途中からドハマりして、クリアすることに躍起になって、、、最後のこの光景はものすごく気持ち良かったですね。主人公とその周辺だけが幸せになっておしまいみたいなエンディングが大多数だと思いますが、この作品は違いました。残された人々が救われただけでなく、プレーヤーが皆の幸せを勝ち取った、という達成感も与えてくれます。
とても良い意味で、心に残るエンディングでした。
ちなみに、これはエンディング4。4種あるマルチエンディングで最も重要なエンディングという意味でも◎。
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タイムリープした回数は15回でした。
まとめ
最初は何をすれば良いかわからず、キャラも全く識別出来なかったので切ろうかとも考えました。しかし、一つ一つクエストをクリアすることで道が拓けて、加速度的にハマり、最後には超スッキリ・素晴らしい達成感のあるエンディングを見ることが出来て大満足でしたね。
公式PVの再生数が非常に少なく、売上的にもマイナーな部類の作品になるでしょう、、、ただ、日本語版をプレイして良かったと自信を持って言えます。謎解きが好きな方、堅い日本語に抵抗のない方にはおすすめです。
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コメント
通りすがりにすみません、購入を迷っていたのですがマイナーなタイトルなのかあまり感想などを書いているところが見つからなくて…こちらの記事を見て買うことにしました。
ネタバレなどの配慮ありがとうございます、遊ぶのが楽しみです!