学級文庫の選別を依頼された時に考えたことになります。
はじめに
知人を通じて、学級文庫を選んでほしいと依頼がありました。中学生に読まれている本ではなく、読んでほしいと思うものを好きに揃えてほしいと。
ブログにはほとんど書けていないのですが、僕は日常的に読書をしています。どのくらい詳しくてどのような考えを持っているかなど、自分を知らない人に証明する難しさを感じています。
気が置けない現役中学生の知り合いなどいるわけもなく、そこで考えました。
自分の中学時代を思い返す
やはり、まずは自分の中学生時代を思い返しました。
小学校の時に、所属していたサッカーチームが全国大会で優勝したんです(僕は二軍)。中学はそのままサッカー部に入り、部活一辺倒な日々を送りました。
当時の僕自身の価値観は、サッカーの上手さ=人の魅力。選抜や大会得点王の友人が身近にいたので、サッカーが下手くそな僕は劣等感の塊でした。
この人達はプロになるんだろうなあ~と思っていたと同時に、自分が努力してもどうせ……と常々思っており、向上心や主体性がまるでない人間でした。たとえ、私生活で彼女が出来ても、勉強が出来てもそれは変わりません。かと言って、サッカーを楽しむための努力は一切しませんでした。また、サッカーを辞める選択肢を持つことも出来ませんでした。
このように、あまりにも狭い視野しか持てなかった中学時代を過ごしました。主体性を持てるようになったのは環境が変わった高校からです。
世界を広げると同時に
しかし、僕がそうだったからと言って「世界&視野を広げなさい」と中学生に言うのはどうかと考えます。なぜなら、その狭い世界の中で得られること、勉強できることは財産になるからです。
現実的なことを言えば、世界は広がっても、自分が実際に生きる日常の世界は狭い場合が多いんじゃないかな、と思うわけです(相対的な話ですが)。
なので、まずはこれが一つ。
夢中になれるもの……と言う前に
依頼してくれた方に、普段生徒に言ってること・伝えたいことなどを聞きました。
「夢中になれるものを探しなさい」
……たしかに、夢中になれるものが見つかればラッキーだと思います。そこから学べることは本当に大きく、自己形成に直結する場合が多いでしょう。
しかし、夢中になれるものがなくて苦しい経験を僕自身がしていることもあります(夢中になれるものを探し続けた人生でもある)。僕がどうやって夢中になるものを見つけてきたのか。その方法はざっくり言うと以下です。
まずは知識をつけて、複数の視点と選択肢を持つ。実際に行動して、出来れば人を巻き込み、自分なりの考えを経験と照らし合わせつつ導く。
それで成功体験が得られたり出会いがあれば、継続へのモチベーションを得ることが出来ました。なので、まずは行動を起こしたくなるような本、そして疑問を解消してくれる本を推薦しようと思いました。
これが2つめです。
そもそも、学生が学級文庫を読むか?
読まないと思います。僕自身、読書の面白さに気付いたのは大学生になってからです。読書そのものよりは、読書の先にある何かが大切なのだと考えます。例えば、好奇心の充足、実際に役に立った、自分の中に活きていることを実感できる、人と語り合う経験などなど。
中学生って、自我の芽生えをコントロールする術を学ぶ期間とでも言いましょうか、自我を確立する途中だと考えています。親が与えてくれた環境や、外見レベルによって相対的に育ってきた存在という印象が強いです。中学生の時の価値観のまま30歳になっている人はほとんどいない……と思いますしね。
なので3つめは
本の紹介にあたって
友人知人に対しては、今までたくさんの作品を紹介をしてきました。しかし、それは相手を知る機会があり、悩みや苦悩などを会話の流れの中で察することが出来たからです。その過程で、「この本や映画なんて良いんじゃないかな」と情報が勝手に繋がってくれるからです。カウンセリングみたいなものでしょうか。
なので、
僕が人にオススメ出来ると思える本の中から、中学生をイメージして選んだ形になります
プロフェッショナル~運命の一冊、あなたのもとへ 岩田徹さん を見て
北海道で小さな本屋を営む岩田徹(66)。岩田が行うのは、予算1万円で客に合った本を選ぶ「1万円選書」。いま全国から注文が殺到!実に3000人待ちだ。岩田は、応募者の読書歴や境遇などから、人物像をあぶり出し、人生に寄り添う「運命の1冊」を選び抜く。バブル崩壊、出版不況…何度も廃業の危機にさらされながら闘い続けた町の本屋。ゲスト高山一実(乃木坂46)が1万円選書を体験、岩田の流儀をひもとく。
岩田さんが僕とは比較にならないほど本を読まれていることは大前提ですが、人に合った本をおすすめするという行為の難しさを共感した内容でした。食べ物やゲームならばもっと気軽におすすめ出来るのですが、、、なぜか本はそれが難しい。その理由を考えたところ、やはり読書は己と真摯に向き合うからだと思います。
実は僕も選書サービスをしようと考えたことはあります。ただ、得意な分野がどうしても偏ってしまうのです。洋書なんかは詳しくないですしね。また、その人に合わせた本を選ぶまでの時間が膨大になってしまいますし、金額の設定も基準がわからない。。。ということで流れました。
何十年にも渡る熱意ある継続があってこそのサービスなのだと感じました。よって、選書を日常的に行える人間はごく一部の人のみ(依頼が舞い込む人ならば尚更)、という結論に至ったのでした。
なので、得意分野+たま~に選書(というかおすすめを記事化)しています。
学級文庫に推薦した本
勉強する理由を学べる本
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