魚料理のレパートリーを増やしたい……と切に願った僕が、魚レシピ本24冊を比較して自分に合う本=初心者向けの3冊を紹介します。
はじめに
前記事で24冊比較した結果、選んだ基準は以下の条件。
- レシピの質(肉で代用できるのではなく、魚だからこそのレシピが大切)
- 作ってみたいと思わせる写真や構成
- 日常で作れる家庭料理のレシピを知りたい
- 魚料理はめんどくさい!という初心者の思いを置いていかない
- 著者の過度な笑顔写真が載っていない
- 本として読みにくくない などなど
- 彼女が貼った付箋の数
詳しくはこちらで言及↓↓
おすすめ
サルビア給食室のやさしいお魚料理/ワタナベマキ
少しの工夫で手軽においしく魚を食べる60レシピ
サルビア給食室のワタナベマキさんが作る、素材のおいしさを引き出した丁寧でシンプルなお魚のレシピ集。さばくのが面倒そう、難しそう、というイメージの魚ですが、本書では切り身や刺身を使った忙しい毎日の食卓に役立つ手軽でやさしいお料理のレシピを中心に紹介しています。もちろん、基本のさばき方も丁寧に紹介しているので、慣れてきたひとは1尾をさばいて調理してみても。とっても手軽で、驚くほどおいしいお魚料理がいっぱいです。
比較した24冊の中で、最も初心者の気持ちに寄り添っていたと思えた本。著者のワタナベマキさんがこの本で示している指針(くふう)がある。それが以下の三点。
- くふう:切り身や刺身など、さばいてあるものを使う。
- くふう:定番の魚だけ、さばき方を覚える。
- くふう:“ストック料理”にして、楽しむ。
スーパーで買えるものも活かしたいし、基本的な魚もさばけるようになりたい。そんな僕の希望に、この指針(くふう)はピッタリだった。順序ステップを踏める点はもちろん、そのレシピの内容も良かった。
春夏秋冬で旬の魚を紹介しているお魚暦帖というページがある↓↓この中からレシピを選べるので、一年を通して旬の魚のレシピを探して作るということが容易に出来る。
また、多くの魚を幅広い調理法で紹介していることから、魚介に馴れてもらいたい=魚はめんどくさいという考えを払拭してもらおうという意図が伝わってくる構成が特徴なのだ。具体的なレシピとしては、
- 切り身魚で(鮭、鰤、鯖、かじき、白身魚)
- お刺身で(鮪、鰹、鯵、秋刀魚、鯛)
- 魚介類で(たこ・いか、えび、貝類)
- 一尾をさばいて(鯵、秋刀魚、鰯)
- ストック料理は(煮る・漬ける・干す・炒る)
これらすべてで60である。やはり、レシピ数の多さは重要ではないと思えてならない。
また、写真がスタイリッシュなので、一見家庭料理っぽくないのだが、読むと頭に入ってくるから不思議。こんなレシピあるんだと思う一方で、頭の中で作れそうなイメージを抱かせてくれる。こんなん作れるわ!orこんなん作れんわ!じゃない点が良かったので、個人的に惹かれた。ローズマリーやディルなどの香草や白ワインビネガー、レモン、みょうが、梅干しなど、香りを積極的に入れている点も、肉や野菜料理は作れるけど魚料理は敬遠していた僕からすれば、学ぶことが多くてワクワクした。
前記事で、著者の舌の基準が知りたいと書いた。その点だが、ワタナベマキさんが実際に取り寄せている「我が家の美味しいお取り寄せ」というページから、(どれも少々お高めだが)ワタナベマキさんの舌を考察できる点も個人的には嬉しかった。ちなみに、紹介されているものは、ひもの、たらこ、鮭フレーク、佃煮の4点。
ちなみに、Kindle版もある。
レシピ数:60
本のサイズ:B5(182mm×257mm)
わが家の魚料理/栗原はるみ
サバや鮭といった気軽な切り身、アジやイワシ、サンマなどの身近な魚、そしてお刺身を使った、誰にでも気楽にでき、おいしく、そしてちょっとおしゃれな栗原家のお魚レシピが74点。切り方や味つけなどの工夫で広がる魚料理の楽しさを教えてくれます。魚料理に合う献立もご紹介。
「著者の笑顔写真は要らん言うとったやん!」と彼女にツッコまれたのだが、勘の良い方ならわかるはず……料理研究家の下向き笑顔と言えば、栗原はるみさんのイメージまんまだからだ。しかし、この本には最初と最後の著者紹介の小さい写真のみなのでセーフ。誤解されないように言うと、写真だらけの本に対しての苦言だった。
さらに言えば、はるみさんはテレビで「切り方や味付けを相手の好みに合わせよう」と尊重する姿勢が伝わる。「こうした方が絶対に美味しい!」と押しつけがちな料理研究家や自称グルメ通とは本質的に異なるから僕は好きなのだ。あと、少しテキトーなところも親近感が湧く(きょうの料理:ポーチドエッグのポテトサラダの回を見てほしい笑)。
こちらの本も手順が明確。切り身→さばく→さしみ
- 切り身魚で気軽に作れます(サバ、鮭、銀ダラ、カジキ、鯛、金目鯛、サワラ、カレイ)
- 一尾丸ごとでも簡単レシピ(アジ、イワシ、サンマ、新巻鮭。鯛)
- お刺身でおしゃれなごちそう(マグロ、鯛、白身魚、サーモン、おすし)
もちろん、栗原家の代名詞に近い鯖そぼろも載っている。
華々しく豪華に彩られてはいないけれど、何か他の料理本にはないと言うか、DNAから唆られると言うか、、、やはり日本人好みのレシピが多い印象を受ける。読んでいると、栗原家への羨望の気持ちが溢れてきてしまうのは僕だけではないはずだ。
巻末には魚のさばき方や美味しい魚の見分け方、保存方法なども1ページずつ載っており、まさに初心者向けと言える。
個人的な意見を述べるならば、改訂版を作るべきである。出版されたのが2005年だが、比較すればするほどこの本の質の高さが伝わってきたからだ。言うなれば、レシピ本として完成していると思う。Kindle版も出すべきである。
レシピ数:74
本のサイズ:A5(148 mm x 210 mm)
クックパッドのおいしい厳選!魚介レシピ
料理レシピサイトNo.1の「クックパッド」。掲載されているレシピ数は、【210万レシピ超】。 あまりにも膨大な数のため、「ホントに美味しい料理」を探し出すのはカンタンではありません。 本書は、そのような膨大なレシピからランキング上位の【超人気レシピを厳選】。多くのユーザーが「実際に作って、美味しい!」と大絶賛している【魚介】レシピを集めました。
この本に、魚のさばき方は載っていない。言ってしまえば、魚を理解しつつ、基礎から上達したいという初心者には向かない。レシピの行間が読めない人もいると思う。
けれど、この本に紹介されているレシピを実際に作った人たちは、きっと魚料理に対して何かしらの解決策を見出している。例えば、魚料理はめんどくさいけれど、作ってみたら簡単で美味しかった……そういった過程があって、人気が出たのだろうと僕は考える。魚料理がめんどくさいと感じている僕からすれば、他のクックパッドの人気レシピを集めた本とは少し異なるのだ。
こちらの本の構成としては、
- 「洋風・中華の主菜」
- 「和の主菜」
- 「副菜・おつまみ」
- 「スープ・汁物」
- 「ごはん・めん」
に分けられているだけ。クックパッドを使ったことがある人ならばわかってもらえると思うが、人気のレシピでも大したことないな~と感じたことはあると思う。でも、とりあえず作ってみようと思わせてくれるラインが絶妙なのだ。例えハズレても、「クックパッドだから」という謎の期待値の低さから許せてしまう。
何より、「肉や野菜料理はクックパッドを見て上達した」要素が多少なりある僕にとって、この本の素晴らしさは無視出来なかった。そして、彼女が最も多く付箋をした本でもある(前の記事を読んでね)。
魚だからこそのレシピ率が高いのはもちろん、レシピ数が多すぎない点がまた良い。しっかりとポイントを抑えていると思う。
巻末のプレミアムサービスの告知や、実際に作ったスタッフの感想が浅すぎる点はいただけないものの、クックパッドってやっぱり偉大やな。。。という結論に至った。
なので、上記二冊の副読本的な扱いを僕はすることにした。美味しそうで簡単に作れそうで定番っぽいレシピが最も多く載っているから。
レシピ数:74
本のサイズ:A5(148 mm x 210 mm)
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