【2024年9月1日 追記・更新】
2021年10月28日にPS4/Nintendo Switch用で発売されたソフト『こちら、母なる星より』を、PS4でクリアした感想・評価になります。一部の項でネタバレをガッツリしているので、その点は注意です。
こちら母なる星より とは
宙そらからやってきたとされるそのウィルスは地球にかつてないほど大きな被害をもたらしました。そんな災禍から長い長い月日が流れ、今、この池袋にはわたしたち6人だけ。狭くなった街と崩れた建物、それを彩る草の緑と水の青。そして、どこからか漂うエアコンのニオイ。
「こちら、母なる星より」わたしたちは今日も大丈夫です!
プレイ人数:1人
CERO:
ジャンル:百合アドベンチャー
→アドベンチャーとは言えないと思う(後述)。
主題歌:「Cheerful Days」ななひら
ちなみに、前作?『じんるいのみなさまへ』もクリア済みです。
評価・感想
キャラを覚えるまで時間がかかる
奏心(かなこ)……主人公。
玲頼(あきら)……男勝りみたいな喋り方。デンマークの血が入ってる
春海……占星術が好き。惚れっぽい。敬語を使う
夏樹……コスプレ好き(コスプレは一切出てこない)。鈍感
沙織……高専生。宇宙工学などに詳しい。考えながら物事を話す
百年子(もとこ)……ボクっこ
この6人がメインキャラです。今作は、キャラがアイデンティティや過去をとある事情(後述)によって語らないので、メインとなるガールズトークのみで覚えなければなりません。よって、覚えるまでに時間がかかりました。
ストーリーは面白いが、サバイバルを含めて描写不足が気になる
友達同士でクルーズ船旅行をしているような展開からストーリーは始まります。ですが、艦内を探索しても誰もおらず。ただ、食堂・風呂・娯楽などの設備が整っていることもあり、6人は共有することで生活を楽しみます。プールで豆苗つくったり、新しい食事メニューを開発したり。
船を降りると、緑に覆われた池袋の街がありました。前作プレイの方は、ああ、(じんるいのみなさまへ に)帰ってきたんやな。。。と感慨深いものがあるでしょう。池袋には海があり、魚や鹿や鶏もいます。
基本的には、なんちゃってサバイバル生活をする6人のガールズトークを読むことになります。後述しますが、プレーヤーに出来ることはほぼありません。ただただ、ガールズトークを読むことのみ。
なぜそうなったのか? といった類の世界の不思議を誰も話さないですし、キャラの成長も内省もアイデンティティも後半になるまでありません。ですが、意外にも楽しめます。
池袋を探索すると、サバイバルに役立つ様々なものがあります。肉を食べるために鹿をさばく展開があるのですが、その描写はバッサリカット。画はともかく、文字だけでも解説してほしかったと思うことは多い。
じんるいのみなさまへと比較
MAP移動が全カット。場所を選択して、ガールズトークを聞く……という流れになりました。
バックログの閲覧、いつでもセーブ可能、文字のフォント変えてくれる機能がコンフィグにあったのは嬉しかったです。
ゲームと呼べるのかわからない
朝・夕・夜と設定はあるものの、プレーヤーは選べない
この作品は、展開に影響を与える選択肢はないです(たぶん)。また、前述したようにサバイバルする様子をガールズトークを通して想像させるだけなので、操作を求められることもありません。もちろん、収集要素なども皆無です。
サバイバル要素があるジャンルと言えば、一般的にはオープンワールドです。が、もちろんあのような要素は1つもありません。また、キャラにボイスはあれど動かないのでアニメでもない。美少女×サバイバル『ソウナンですか?』という漫画がありますが、サバイバル要素も展開力も今作より豊富です。
情景描写もなく、95%くらいがガールズトークなので小説とはとても言えません。BGMは片手に収まるくらいの種類で(たぶん)、背景画も乏しい。選択次第で展開が変わるようなこともないので、ノベルゲームとも言い難い。
要は、プレーヤーの自由意志が出来ることが、ほぼないんです。
今まで200近いPS4ソフトをプレイしてきましたが、ここまで出来ることがない作品は今作が初めてでした。日本一ソフトウェアのノベルゲームと比較しても、『真・流行り神』や『夜、灯す』のような選択肢分岐があるわけでもないですし、『じんるいのみなさまへ』の自由に動けるMAP移動もありません(技術的にはかなりアレでしたが)。
なので、百合アドベンチャーとは言えないですし、そもそもゲームと呼べるんかなこれ……というのが僕の考えになります。
バルブハンドルが出てくるのに、それを回さない・回せない・回す描写がないのは、ゲームとしてどうかと思ったり。
百合ゲーとしては微妙かも?(ネタバレ注意)
百合というジャンルに詳しくはないですが、百合要素に必ずあった精神的な結びつきが生まれるまでの描写が弱いと感じました。
二人の関係性を作中で深く描いていて、精神的に強い結びつきが生まれる。その結果が手をつないだりいちゃついたり……というのが個人的な百合の定義です(百合と呼ばれるジャンルのゲームをクリアしてみた結果ですね)。
しかし今作では、6人には深く共通している「生き残った」ことはあれど、2人×3組には各々には特になかったな、という印象です。というのも、治療の影響で過去のことを話さないですし、サバイバル生活でも終始ガールズトーク。大きなマイナスの出来事(ピンチとか)にも陥っていません。特別に惹かれ合うものがあって、それを描いている、、、という感じでもなかったです。
顔を赤らめていますが、そうはならんやろ! とツッコみたくなる部分の方が多かったです。笑
ですが、ここまでプレイしたならもういいか……みたいな諦観もあり、どこか自分を納得させていました。
かなこ×あきらは、記憶をなくす前からいちゃついていたのでまだわかるのですが……もとこ×沙織は全くピンと来ませんでした。
ストーリーのネタバレ(超超超注意!)
延々と続くと思われたガールズトークでしたが、急展開を迎えます。
これを知ると、伏線や謎をすべて回収することになり、プレイする面白さが減ると思うので、超ネタバレ注意です。
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池袋にある工事現場のアクリル板が落下、かなこの頭にかすって出血。血が止まらず病院のカプセルへGO。怪我してはいけないと言われていたような……という記憶が蘇ります。出血が止まらないかなこには輸血の必要があり、もとこの血液型がたまたま合致。一命を取りとめます。
血はさすがに描いてほしかった……
眠りについたかなこは、失われていた記憶を取り戻します。6人は元から友達だったわけではなく、クルーズ船に集められて、「おともだち」になったとのこと。
アマルゴーサ・ウイルスに人類は感染し、25億人が死亡。ウイルス対策のために、感染者を冷凍保存することでウイルスの寿命が尽きるのを狙ったそう。よって、6人は500年も眠っていた。家族などの記憶がなかったこと・サバイバル生活で不安などがなかったことは、治療の影響だった。なので、アイデンティティや過去、サバイバルにつきものの精神的疲弊などがなかったわけですね。
手がかりがあるサンシャイン60階へ行く→空へ続く階段を登る→コンピュータルーム→名前認証でsiri的なものが答えてくれたのは、ここは金星の地下であること。池袋を模した都市「イケブクロ」だった。
ウイルス感染しなかった人類は地球を後にした。指紋認証で家族からの手紙が読めるように。
母からの手紙で、同姓同士でも子供を残せるようになったことが発覚。そして、かなことあきらの子を、かなこ母に着床→お腹の子は育てますよ! という衝撃の内容が。
iPS細胞で同姓同士の生殖が可能になったとのこと。具体的な内容は不明ですが、山中教授に許可を取っているとは思えない…………
500年前は、子供を残す決意をするほど仲が良かった二人。かなこは、今でも同じ選択肢を選ぶ? とあきらに聞きます。あきらは、選んでいいなら……と答えていました。
人類の生き残りと接触することにも成功。3万人ほどですが、わずかに生き残っていた。数を減らしてしまったのは、希望が見えなかったからだそう。
6人は工事現場からバイクを掘り出して、この土地を脱出して終わり。パッケージ画像に、しっかりとこのバイクが描かれていたのは◎。
ざっくりですが、こんな感じの急展開でエンディングを迎えました。
エロも
体勢ではなく、顔が近い。と思いましたが、構造的体勢的と言っているので、、、
攻略情報
画像のように、選択肢がカップルごとに発生する場所があります。三分の一の選択だけと思いきや、また同じ場所に戻って他カップルも選択可能です。
R2を押しながら◯を押せば、超高速でトークを送れます。
声優一覧
藤井彩加(かなこ)
河上明日香(あきら)
藍月なくる(沙織)
白石ゆきね(もとこ)
ななひら(春海)
大本なな子(夏樹)
植西咲子(里望・ヘレンシア・仁井)
キャプチャーギャラリーで認識されない件について
PS4のホーム画面で、キャプチャーギャラリーを選択→今までプレイしてスクショを撮ってきた作品がずらりと並びます。そこには200近いソフトがある中、『こちら、母なる星より』だけがありません。正確には、削除されたアプリケーションという表示のままになっています。謎です……。
クリア後・クリア時間
クリア後の要素・特典などは特になし。クレジットを飛ばさずに見ると、トロフィー「THANK YOU FOR PLAYING」を獲得。クリア時間は10時間くらいでしょうか。
クリアしてキャラを覚えた影響で、公式サイトのWEBコミックスなんかは一気に面白くなりますね。
公式サイトより引用。沙織のひとりおふろタイム はクスッとしました
あと、日本一ソフトウェアで購入した時の特典↑↑を、なぜ初回購入特典にしないのか……これがマジで意味不明です。そして、これと全く同じことを、『夜、灯す』の記事でも書いた気がします。
9割以上の人はクリア後でないと、作品に強い関心を持てないと思います。ノベルならばなおさら。プレーヤーに買い直しを求めていると捉えられても仕方ないですし、かと言って、買い直すほどの金銭的価値も感じません。シンプルに、作品に関心を持ってもらえるチャンスを逃していると考えるので、もったいないです。そして、企業の評判にも大きな影響を与えるでしょう。
まあ、僕がこんなことを言っても改善しないでしょうが……。
まとめ
まず、質・量に対して商品価格が高いです。
そして今作は、『じんるいのみなさまへ』のMAP移動を丸々カットして、完全なノベルものになりました。プレーヤーが出来ることはほぼないですが、ストーリーは抑揚が激しくて面白いですし、ガールズトークも苦にはなりませんでした。もうちょっと描いてほしかったですが覚悟はしていましたし、キャラが揉めたり操作上のストレスもありませんでした。前作プレイ済みだからこそ楽しめる境地があるのかもしれません。
また、ストーリーやキャラ、春夏冬ゆう先生のイラストなど惹かれる点があった方にはおすすめです。
そして、日本一ソフトウェアは今後どうなっていくのか……という興味を抱かせる、新しいジャンルの作品と言えるでしょう。
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