2020年3月26日に発売したソフト『Life is Strange 2』(PlayStation®4/Xbox One*/Steam**)をクリアした感想・評価になります。ストーリーに関する内容を含んでいるので、ネタバレ注意です。
Life is Strange 2とは
ひとつの選択だけで 人生は決まらないから
『Life is Strange 2』はプレイヤーの選択によって物語の内容が変化するアドベンチャーゲームです。
主人公は、シアトルに住むごく普通の兄弟。ある悲劇的な事件の後、兄のショーンは、超能力に目覚めた弟ダニエルを連れ、自分たちの居場所を求めて父親の故郷であるメキシコ「プエルト・ロボス」までの逃避行を始めます。
希望小売価格:4,980円(+税)
ジャンル:アドベンチャー
プレイ人数:1人
言語仕様:音声-日本語/英語 テキスト-日本語/英語ほか
CERO:D(17才以上対象)*
開発会社:DONTNOD Entertainment
★簡単に言うと、目的の場所や人のところまで行く→選択肢を選ぶ→ムービーを見る→……を繰り返すアドベンチャーゲームです。
難易度自体は非常に低いですが、選択によって展開が分岐します。PS4の他作品で言うと、『Detroit: Become Human』が最も近いゲームスタイルでしょう。
評価・感想
ストーリーは面白いが、良いとは言えない理由
プレーヤーは兄のショーンを操作し、弟のダニエルと二人で逃避行するのがストーリーの大筋です。警察に追われる身ですが、それほどガチな警察ではなく、警察との絡みは終盤までありません。
どちらかと言うと、旅路を通して出会う人々との交流がメインで描かれています。
ストーリーは、主人公のショーンが同級生とのパーティーへ向かう準備をするところから始まります。今夜なにかが起こるかも……みたいな淡い期待を抱いていたのですが、弟ダニエルがお隣さんとトラブルを起こしてしまい、父親が死亡する悲劇的な展開に……そこから、兄弟二人の逃避行は始まります。
自分に好意を抱いている子がいて、童⚫を卒業できるかも……と期待を抱いていたショーン。ですが、そんな雰囲気は吹っ飛びます。
途中、河原でキャンプしたり、母方の祖父母宅を訪ねたり、大麻栽培施設でお金稼ぎをしたり、宗教団体とか関わりを持ったり……生きるために手段を選ぶことが出来ず、、、様々な展開が用意されています。
旅路では、様々な人物と出会います。
ショーンにとって旅を助けてくれる人もいれば、理不尽な暴力を振るってくる人まで様々です。ただ、全体的に、人生に生きづらさを抱えている人が多数登場しており、人生について考えさせられるような展開・選択肢も多い点が特徴です。
考えさせられるセリフも多い
ストーリーには、もう一つの柱があります。それは兄弟の母親です。
ある日突然失踪した母の行方が伏線になっており、兄ショーンは母に対して「自分たちを捨てた」という怒りを感じています。しかし、弟ダニエルは母の記憶がないので、仕切りに母に会いたいと主張。逃避行する兄弟ですが、何かと意見の相違があるのもポイント。
若かりし頃の母の写真
ゲームそのもののテンポが良いですし、登場するキャラも個性的で飽きません。その上、予想外な展開などの起伏もあって面白く、没入感がある作品になっています。
弟のダニエルをどう思うかで評価が変わるかも?
ただ、このゲームをどう感じるかは、弟ダニエルへの心象に因って決まるのではないでしょうか。
弟ダニエルは、事件をきっかけに能力に目覚めます。その能力を使ってストーリーを進めることになるのですが……
弟ダニエルは、非常にわがままな性格をしています。能力を使うと周囲の人間が騒ぐのでそれを嫌う兄ショーンに対し(警察に追われてますしね)、能力を誰かに見せびらかせたい弟ダニエルという構図。
なのでプレーヤーは、上手に弟ダニエルを導いていく必要があります(もちろんこの選択も自由ですが)。
子供扱いされるとすぐに不機嫌になり、騒ぎを起こすようなことを平気でしたり……じゃじゃ馬というやつですね。そのくせ、常に心の拠り所を他者に求めているので、基本は兄に心理的に依存しています。ただ、兄と喧嘩中だったり兄がいなくなると、自分を認めてくれる大人を簡単に信用して利用されてしまう一面も……。
口うるさい兄に対して、「能力を使えるのは自分であってお前じゃない」というマジギレ中の弟ダニエル
善悪の判断よりも承認欲求の充足の方が大切で、自分で物事を判断することが出来ない一面が多々見受けられます(あくまで僕の主観です)。
弟ダニエルは、9~10歳。
このくらいの年齢の子はこんなモンという方もいるでしょうし、わがままな姿が可愛いという人もいるでしょう。成長過程なので理解を示す人も多々いるはずです。もちろん可愛らしい一面もあるのですが、、、
僕がプレイした感想を一言で言うならば、
弟ダニエルの(頭が悪い)せいで、兄ショーンが被害を被り尻拭いをする物語
になります。強調しますが、あくまで主観です。
頭が悪いというのは、失敗から学ばないという意味が強いですね。とにかく学ばない。まあ、物事をしっかり学ぶ人物はゲーム的に面白い展開にはなりづらいので仕方ないとは思いますが、何度も何度も繰り返されるので、、、。
でも、ダニエルがこうなってしまった原因は……と考えると、ダニエルを一概に責めることも難しくなってしまいます。例えどんなことがあっても弟の味方である兄を見て、美しい兄弟愛を感じる方も多いでしょう。プレイする人の年齢や性別、国民性によっても捉え方が変わると思います。
なので、 個々による捉え方によって印象に差異が生じるゲームであると言えます。
選択肢システムは素晴らしい
ゲームにしてはキャラの個性と関係性が、あまりにもリアリティに溢れています。
逃避行という極限の環境の中で行われる選択の連続。その上、家族や兄弟とも深く関係した選択が多いので、プレーヤー自身の人生観・家族に対する感情などを呼び起こします。
また、各々のキャラには主人公への好感度があり、それが展開を左右しているようです。具体的には、一つの選択肢に4つの展開があったりするので、それ以前の選択も重要になってきます。ラストの展開はこれが顕著で、ダニエルの好感度によって大きく左右されるでしょう。
例えばこの画像。ダニエルと一緒に寝なければ、ダニエルは怒って問題行動を起こします。こういった一つの選択が後々響いてきたりするのも特徴です。
メキシコへ向かうといった大まかなストーリーの変化はないですが、そこに至るまでの行動が変化したり、ともに行動する人物も変わったり、展開によって登場しない人物や死んでしまう人物などもいます。
多くの展開が用意されている点は本当に素晴らしいですよね。
エピソードをやり直して異なる展開を見れる
自分が選択してない選択肢を選んだら、どんな展開になるのか? この願望を容易に叶えてくれるシステムが今作にはあります。
「パラレルワールドとしてプレイする」を選べば、選択肢の結果を心配することなくプレイできます。このシステムは非常に良いと思います。ムービーも一部スキップ出来ますしね。
選択した結果が気に入らなければやり直せますし、ただ単に違った展開を見たい場合もやり直すことが可能です。
このあたりは親切設計だと感じました。
他のプレーヤーの選択肢がわかるのも◎
1つのチャプターをクリアすると、自分とは異なる選択肢を選んだ人、異なる展開になった人の割合が%で表示されます。これは面白いと思いました。
ただ、途中から僕の意思に沿うような選択肢が少なくなり、最後には没入感がなくなってしましました。
なので、プレイする人によって本当に感想が異なると思います。
ライフイズストレンジ1との繋がり・関連性は?
1の登場人物が再登場するなどの直接的なつながりはありませんでした。
僕が確認出来たのは、、、1で登場したクロエ(青髪の女の子)の父親デイビッドが終盤に登場するところくらいです。主人公ショーンへ当時の苦悩を吐露し、人生の助言を与えてくれる描写が僅かながらにあります。
前述した通り、能力も1と2では異なりますし、そもそもの登場人物が違います。1のストーリーを引き継いだ続編というよりは、世界観を引き継いだ別の人物のライフイズストレンジであると言えるでしょう。
また、ゲーム開始時に「アルカディアベイを犠牲にしましたか?」という質問があります。これは前作の選択を確認するためだと思いますが、今作への影響があるかどうかは不明です(現時点で)。
もしかしたら、アイテムや記念品なども関連するものがあるかもしれませんが、とりあえず。
ライフイズストレンジ1……主人公が時間を巻き戻す能力を使える
ライフイズストレンジ2……主人公は能力を使えず、弟のダニエルが能力を使える。物を持ち上げたり、空間上で留めたり。
その他
クリア時間・クリア後など
クリア時間は、12時間くらいだと思います(他の選択肢が気になり、多少やり直したのも含めて)。
クリア後の特典などは特にありません。メニューのおまけから、「あなたの選択」や「ドキュメントギャラリー」が見れるようになるくらいでしょうか。
体験版『The Awesome Adventures of Captain Spirit』の引き継ぎ
チャプター2で登場するクリスは、体験版の主人公です。
なんと、兄ショーンの祖父母宅の隣の住人だったという。ただ、本編でクリスを操作することは出来ませんでした。
なので、何が引き継がれたのかよくわかりません(調査中)。クリスは父親によるDV疑惑がありますので、それに関連した展開だとは思うのですが。
エロ描写も(規制あり)
何も考えずにプレイしていたら、男とキスした後に女とキスするなんてことも有り得ます。また、同性愛の描写などもちらほらあります。
SEXの描写もあるのですが、下着をつけているあたり、日本版は規制が入っていると予想します(ウィッチャー3でそうだった)。くっっっ……!!
声優
ショーン:浜田洋平
ダニエル:松本沙羅
エステバン:川端快彰
ライラ:原優子
ブロディ:古賀明
ハンク:ふくまつ進紗
クリス:佐藤美由希
チャールズ:高橋英則
マントロイド:後藤光祐
クレア:宮沢きよこ
スティーブン:前田弘喜
フィン:木島隆一
キャシディ:足立由夏
メリル:松田健一郎
リスベス:野首南帆子
フローレス:金田愛
ジョーイ:野澤英義
僕が弟ダニエルに愛想を尽かすまで(ネタバレ超注意!!)
この項はネタバレ要注意です
大麻栽培の仕事でキャシディと再会する主人公。徐々に仲を深めていき、キャシディとイチャイチャすることが可能です。もちろん湖でイチャイチャし、その後はテントで無事に卒業……。
弟ダニエルから一時的に解放されたこともあり、この時がこのゲームをしている時で一番楽しかったです笑。
しかし、この後の展開が良くない……。
弟ダニエルは「兄ショーンをこの女に取られた! お前なんていなければ良いんだ!」みたいなことをキャシディに直接言い出すわ、唆されたとは言え平気で犯罪に手を染めるわ、能力を暴走させて結果的に兄の左目を失明させるわ……
病院送りにされても、未だに弟ダニエルを想う兄ショーン。そして、病院を脱走して車を盗んで走り出す展開に。愛する弟のためとは言え、軽犯罪を繰り返す姿勢は疑問。
兄弟愛に共感できないことも多々ありました。
大麻所持施設の後は、成り行きでお世話になった宗教の教祖に祭り上げられていたダニエル。そんなダニエルを救いに行くのですが……
しっかりと洗脳完了しているダニエルくん。簡単に洗脳されるのはマジで勘弁してください。
あとは、兄弟のお母さんがこれまた癖の強い人で……家族を捨てて出ていった理由などを聞くことが出来ますが、これも人によって見解や印象が大きくバラけるでしょう。人生は奇妙だ……というより、人生って難しい。
まとめ
選択によって展開が変わるだけでなく、万人に共通する人生や家族について関連させることで、選択肢に深みを持たせています。考えさせられるという点で、素晴らしい作品だとは思います。
操作も簡単で初心者に向けでもありますし、ストーリー重視の方にもおすすめ、、、
ですが、結果的に、誰にも感情移入できず、好きなキャラもいないというのが僕の感想です。ゲームとして完全に割り切ることも出来ず、かと言って誰にも感情移入も出来ず……なんとも一貫性のない中途半端な選択ばかりしていた気がします。弟ダニエルに早い段階で愛着がなかったからですね。
ストーリーが良いとは言えませんが、ストーリーが面白いゲームではある、と記しておきます。
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