【2024年2月1日 PSPlusのフリープレイに追加! など追記・更新】
2022年9月7日に発売されたPS5ソフト『Steelrising(スチールライジング)』をクリアした感想・評価になります。項によってはネタバレ注意です。
最新作:龍が如く8のレビューも
Steelrising(スチールライジング) とは
革命を導き、民衆を救え――
人と機械が織りなす、もうひとつのフランス革命
本作では、オートマタと呼ばれる機械人形の技術が発展した世界で“もうひとつのフランス革命”が語られます。物語には、機械の兵団を使って民衆を虐殺するルイ16世や、そんな夫を恐れるマリー・アントワネット、体制に立ち向かうため主人公の助けを求めるロベスピエールなど、様々な歴史上の人物が登場。プレイヤーは次第に人間と機械が織りなす革命の渦に巻き込まれていきます。
プレイ人数:1人
ジャンル:アクションRPG
CERO:D(17歳以上)
クリアした感想・評価
ストーリーの理解は、フランス革命の知識が必要
「もしもルイ16世が機械の兵団を用いて人民を弾圧したら?」という設定で描かれた“もうひとつのフランス革命”。
パリ市民を虐殺する暴君と化したルイ16世や、そんな夫を恐れるマリー・アントワネット、荒廃したパリの街を嘆くグレゴワール師、そして体制に立ち向かうため機械人形アイギスの助けを求めるロベスピエールなど、実際のフランス革命でも大きな役割を果たした歴史的人物たちの様子と、歴史の大きな流れの中で翻弄される主人公のオートマタ「アイギス」の姿が描かれます。壮大な歴史の物語をつづる品質の高い日本語ローカライズにもご注目ください。
ルイ16世が機械の兵団を用いて大半の人民を弾圧した世界というのが、今作の舞台(弾圧しすぎて崩壊してる)。プレーヤーは、宮廷の踊り子のオートマタ:アイギスを操作します。機械によって囚われた革命派の人物をアイギスが助けることで革命を成功させる、というのがメインの流れ。
なのですが、世界史が苦手でフランス革命の知識に乏しい僕みたいな人は注意が必要かもしれません。というのも、
- 描写不足で革命の全容が見えて来ない
- キャラが区別しにくい(後述)
などの理由から、革命を起こす、もしくは革命に近付いているような実感が湧きにくいです。
フランス革命の過程は描かれていないので、アイギスが革命派の人や自身の製作者に会うために各地をたらい回しになるような印象でした。
また、革命派の人たちが具体的に何が偉いのか、何が凄いのかが(描写不足と知識不足で)あまりわかりませんでした……。
革命派の一人:ラファイエット。革命派の人たちは、機械に囚われているか、機械から隠れています。フランス革命で活躍したとか。
また、『アサシンクリードオデッセイ』みたいに、ゲームも楽しみつつ歴史・文化も学べるような作品でもありません。
ただ、バスティーユ牢獄を民衆が襲撃したことがきっかけでフランス革命は始まった、と言われており、それらの都市名や革命の流れなどは再現されているようです。実際に、ゲームの終わり方もそれに近いものでした。
メインストーリーよりも、アイギスの存在の謎を解く方が面白かったかも
また、アクションRPGって、探索~イベント~探索~……と続いていくことが多いと思うのですが、その展開のテンポは非常に良かったと感じています。なので、ストーリーはよく分からないけど、世界観やアイギス自身の謎には魅力があったのでクリアまで遊ぶ事が出来ました。
フロムゲーとは似て非なるもの
ゲームデザインがフロムゲー(ダークソウルやエルデンリングなど)そっくりなので、強い影響を受けていることは間違いないでしょう。ゲーム内容語をエルデンリングに例えると、
- ウェスタ:祝福(セーブポイント)
- アニマエッセンス:ルーン(お金兼経験値)
- 油差し:聖杯瓶(回復アイテム)
こんな感じでシステムもそうですし、難易度も高め。フロムゲーのプレイ経験がある方はすんなりと入っていけると思うのですが、、、実態としてはゲーム性が異なります。
まず、ゲーム全体の質の点です。プレイしていると、エルデンリングってマジで凄かったんやな……と(相対的に)何度も感じたのは確かです。キャラの挙動一つひとつもそうですし、ゲームバランスなんかは神がかっていたことがわかります。
ボスとのバトルなんかは質の違いが顕著でした
なので、比較してしまうと「クソゲーやな」「全然フロムと違うやん」と感じてしまっても仕方がないかもしれません。
引用:公式サイト~ステ振りも似た感じ
ただ、今作の特徴はMAPデザインだと個人的には感じており、それはそれ、これはこれ、と割り切れば楽しむことが出来るでしょう。
他にも、稼働力という独自の要素があったり。これはアクションを起こすと減少するもので、攻撃や回避を連続していると減少→オーバーヒートします。その際に冷却する必要があったり。
秀逸なMAPデザイン。探索が最大の魅力
じゃあ、エルデンリングとの最大の違いは何? と問われれば、前述したようにMAPデザインであり、フィールド探索です。オープンワールドではありませんが、MAPは非常に広く感じます。それは、行ける場所が地上だけではないから。地下があったり、建物の中があったり、XYZ軸で広い構成になっています。
部屋の中をくぐり抜ける必要があったり、意外なところが足場になっていたり。基本的には一本道ですが、それでも難しい。敵の機械も各所に配置されています(逃げまくってました)。
どこに何しに行けば良いのかわかりづらいですど、序盤にコンパスを入手出来るのでクイックアクセスに入れて使用しましょう。ただ、目的地だけ示されて、具体的な攻略ルートがわからない場合も多いかも。詳細なMAP表示がないので、大半の人は街を隅々まで彷徨うことになるでしょう……。
鉤爪で瞬間的に移動出来るようになると、地面だけでなく上にも気を配る必要が出てきます。難しいですが、楽しかった部分でもあります。
建物からフィールドを見渡したり、ショートカットを開通すると、こことここが繋がっとったんか! となったり。地図が画面に出て来ない分、頭に入ってつながると脳が気持ちいいですね。『Tormented Souls(トーメンティド ソウルズ)』を思い出しました。
キャリッジ(馬なし車とゲーム内では呼ばれていた)で、ファストトラベルも可能です。バスティーユやヴェルサイユなど、全部で8箇所↓↓。そこから細部に展開しています。18世紀のフランスを忠実に再現しているのでしょう。
探索が足りないのかサブクエストをこなしていないのか、開けられない宝箱もありました……。
武器・モジュールの選択は考察が捗る
その身を兵器に変えた美しきオートマタ「アイギス」
主人公は宮廷の踊り子として活躍していた美しいオートマタ「アイギス」。彼女は戦いのためにその身に刃や大砲を身に着け、戦士へと生まれ変わりました。ゲーム中では、より強大な敵に立ち向かうため、武器やモジュール、ガジェットを付け替えることで能力をカスタマイズすることが可能。また装備品の変更により、防御性能だけでなく、フランスの伝統的で美しいファッションも楽しめます。
武器は9種類ほどあり、近接・属性・溜めなど、各々に特徴があります。例えば、弱攻撃が貧弱でも、特性技が強かったり。2種類装備して切り替えることが出来るので、色々と考えさせられましたね。
最初に選んだのは、踊り子。全部試しましたが、結局設定に従いました笑。武器は宝箱やウェスタから購入可能ですが、キャラクタークラスだけは取り返しがつかない要素です。
ロード画面でも扇が出てくる
武器は、序盤は扇が一番好きでした。軽い攻撃が連続で出せる点と、スタンさせる効果がプレイングに合っていましたね。一対一やボスには良い感じですが、ザコ敵や遠距離は向いてなかったり。
うじゃうじゃいることも。こういう敵には基本逃げるか、手榴弾を投げていました。
武器はレベルアップ可能で、装備で外見は変わります。また、モジュールと呼ばれる機能性を上げる装備の組み合わせで各々に合ったスタイルが生まれることでしょう。属性攻撃も炎・冷気・雷・石化などあり、敵に弱点属性があったりするとは思うのですが、、、ゴリ押しが手っ取り早いかも?
バトルにアクションを活かして欲しかった
ボスを倒すと、革命派の人物を助けることが出来るだけでなく、新しく能力を得ることも出来ます。壁をキックで破壊しています↑↑
空中でタメ→空中ダッシュ移動をしている一コマ。フィールド上で使う場面が非常に多い。
こんな感じで少しずつアクションの幅が増え、バトルでも使用可能なのですが、戦術に組み込むほど有用なのかは疑わしいところ。
もちろん、プレーヤー各々で好みの武器があるとは思います。ただ、個人的には、カウンター特性があり、重量が「重」ではなく「中」ものしか使いにくいな……と。よって上記のような戦術になったわけですが、
ボスとバトル前の演出。この華麗な回避をバトルに実装してくれれば……。
ちなみに、難易度調整も可能。一度ゲームオーバーになると、ルーンが0になるのがエルデンリング。今作も初期設定は同様ですが、そういった難易度の調整が可能です。僕はこれを利用して、慣れるまでは徐々にダメージ減少割合を少なくしていきました。
水にはしっかりと沈んで壊れてしまいます。高所からの落下もウィッチャー3みたいに死にます。
キャラの判別が難しい。若いキャラが登場しない
マリー・アントワネットはわかる
個人的に残念だったのが、若いキャラが登場しなかったこと。何より、美しい女性キャラがほぼ登場しないことです(女好きとよく言われる僕だからかもしれませんが……)。
そして、革命派のおっさんたちの判別が難しすぎました。説明はあるんですけど、、、
革命派の要人は、みーんな同じ髪型。音楽室に飾られていた肖像画のバッハやモーツァルトみたいな。生え際や服、会話内容で判断するしかない。
後半になると彼等が修道院に集まるようになります。グラフィックがやや粗いので、誰が誰だか把握に困りました。
また、革命の内容をあれこれ話すイベントが終わり、一人ひとりに再度話しかけるとサイドクエストを受注することが出来ます。ただ、話しかけたらみんながなぜか移動し始めて笑、ますます混乱。
結果、サイドクエストを一気に受注したものの、誰の依頼かがわからず。
話しかけたら一斉に移動しだすNPCたち……。NPCがあちこちに移動して戸惑ったのは初めての経験でした笑。服の感じもなんか似てる。
クリア後に画像を見返して、ああ!ラファイエットってこいつか! と気付きました。ラファイエットは革命派の貴族で、フランス革命の説明にも出てきます。
レイモンドはわかりやすい。レイモンドだけは黒人についての質問があれこれ用意されている謎仕様だったからです。当時のフランス革命の表現をしているのでしょうか。
ちなみに、住民は一切登場しません。ドア越しに情報を教えてはくれますが、ドアの外に出てくることは絶対にありません。
グラフィックが軽い
グラフィックが軽いという表現が正しいかはわからないですが、率直な感想になります。かなり抽象的ではありますが……。ラストオブアスリメイクやFF7リメイクのような、最高レベルではありません。PS4版を発売しても良かったんじゃないかな、と思うくらい。
重厚感がもうちょっとほしいところ。ワイヤレスコントローラーの振動の影響もあるでしょうが、やはり挙動の一つ一つなのかな。
人物のグラフィックはやや粗い印象。生え際が不自然でカツラに見える(カツラだったという説もあるのでわからない)。「PS5で出しているのにグラフィックが……」みたいな期待を勝手にしてしまうのは仕方がないのかな。
火のグラフィックだけは美しかった。
結論としては、FF7リメイクやエルデンリング、ラストオブアスリメイクなどと比較してはいけない。
シュールな演出も
船を出して一人で他所へ移動するアイギス。水に落ちたら壊れてしまうのに……。
主の指示に従順で、機械っぽいな……という印象がプレイしていると変化してきます。冷静沈着な一面もあり、感情を露わにする一面もあり。アイギスの正体は、今作の魅力の一つでした。
宝箱を開ける時は無敵判定なので、なるべく敵を倒さずに。
手を握るアイギス。機械っぽくない。でもこれが魅力。そう言えば、日本語翻訳も特に違和感のあるものはなかったのですが、フランス語がちょこちょこ出てくるのは気になりました(吹き替えはありません)。
バグで抜け出せなくなることも
登ることの出来る屋根もあれば、登ろうとすると登った瞬間に滑り落ちる屋根もあったり。この辺りの判定の不安さ・不明瞭さがありました。
怪しい
空中で移動しなければならないところを操作ミスで落下→股に木が挟まって動けなくなってリセットした一コマ。おそらく、ここだけではないです。悲しいなあ……。
ちょいちょい怪しい判定がMAP上にはあります。手練れのデバッカーならば、グラフィックをすり抜けることが出来るかもしれません。
要注意!クリア後にセーブデータがない!!
今作はオートセーブでしかデータを保存出来ません。なので、都合よくセーブ&リセットが出来ない部分も難易度を上げていると思います。まあ、それは良いんですけど、、、問題はクリアした後です。なんと、一度クリアしてしまうと、エンドロールが流れるところからしかロード出来ません。
ゲームのレビュー記事を書く場合、いつもならばクリアする→クリア前のデータを見返して、必要な箇所をスクショしていたのですが、、、それが出来ませんでした。。。PS5の仕様で録画を保存することがある程度出来たのでまだ救いはあったのですが、個人的にはブロガー泣かせというか、悲しい仕様でした。。。
ストーリーのネタバレ(9月11日追記・更新)
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アイギスが父と呼ぶヴォーカンソンを発見するも既に虫の息だった。ルイ16世に機械を与えて命令している元凶:天才機械技師カリオストロ伯爵を倒してほしいとアイギスに伝え、ヴォーカンソンは死去。ちなみに、ヴォーカンソンは実在した人物でオートマタの製作をしていたとのこと。ふええ~~(結構驚いた)
ラスボスを倒し、ルイ16世を拘束。
しかし、カリオストロは、アイギスの魂も基?となった女性アナテイスの殺害をしようとするも、直前でアイギスが阻止。アイギスは、アナテイスの魂を基に起動していたっぽいですね。アナテイスは、整合性を考えるとおそらくヴォーカンソンの娘でしょうか(描写不足か僕の見逃しでよくわからなかった)
そして、アイギスは自身のコアを破壊。ボスを倒してコアを破壊→捕らえられていた革命派の要人が解放されたように、今度はアイギスが自身を犠牲にしてアナテイスを蘇らせます。こうやって振り返ってみると、アイギスは革命の中核を成しただけでなく、(ストーリー的な意味で)機械としての役目を完遂しており、完璧な主人公と言えるでしょう。
捕らえられたルイ16世は公衆の面前でギロチン刑に。ルイ16世と検索するとサジェストにギロチンと出てきますし、この辺りも忠実に再現されていると言えますね。
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クリア時間・クリア後
21時間くらい。結構長かったです。クリア後は特になし。
追加のDLCもあるらしいです。追記します(たぶん)。
攻略情報
個人的におすすめの武器・ステ振り
あくまでキャラクタークラスが踊り子の場合ですが、、、敏捷性と物理があり、カウンター攻撃が可能な「フルーレとダガー」をメインにしました。
カウンター(FF7リメイクで言うジャストガードみたいな)がおすすめです。最終的に、カウンターに強いモジュール(カウンターが発動するとダメージ2倍・HP回復)みたいなものを付けていました。単調ですが、快感になります。
引用:公式サイトより
こちらも踊り子を選んだ人に限りますが、敏捷をメインで上げましょう。敵がスタンします。耐久性・機械工学はすぐ死ぬなら多めに。活力で稼働力を上げる活力も重要です。元素技術は属性の耐性を上げますが、これはボス戦に合わせて装備を変えればOKなのかな、と。
どこに行けば良いのか分からない場合
どこに行けば良いのかわからなくなった場合の動画です。マジで訳がわからん……と1回なり、ストレスが溜まりました。ただ、この動画でも正規ルートを探すのが面倒かったです……。
大理石の中庭にいるオートマタを倒す と表示があるのですが、倒してもこの故障したバーを修理しないと空きません。少し戻って、死体が持っている取手を入手しましょう。僕はここで結構時間を持っていかれました。
PSPlusのフリープレイに追加!(2024年2月1日 追記・更新)
本作がフリープレイに追加されましたね。
まとめ
プレイ序盤はエルデンリングと比較してしまったので失望しましたが、全く別の作品である、と割り切ってからは大きく変わりました。MAPデザインや武器やモジュールなどの要素で楽しめましたし、アイギスの謎も好奇心を維持してくれました。
フランス革命を描いた世界観というものはあまりなく、描写不足が明確ながらも没入感を失わずにクリアすることが出来たのは、独自の魅力というか面白さがあるからだったと考えています。
ただ、客観的にはおすすめしづらい作品ですし、ものすごく人を選ぶとは思います。
一七八九年、市民によるバスチーユ襲撃によって始まったフランス革命は、「自由と平等」という光り輝く理想を掲げ、近代市民社会の出発点となった。しかし、希望とともに始まった革命は、やがて恐怖政治へと突入、ナポレオンを登場させ、彼の皇帝即位をもって幕を下ろす。本書は、ドラマに満ちた革命の有為転変をたどりつつ、当時を生きた人々の息づかいや社会の雰囲気を丁寧に追い、革命の時代を鮮やかに描き出す。
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