玉置浩二『しあわせのランプ』のおかげでプロポーズ出来た話(長文)

No-Adあの時の感謝を伝えたい日常エッセイ

公式サイトより引用

玉置浩二さんの『しあわせのランプ』という曲をコンサートで聞いたことで、15年近く付き合った彼女にプロポーズ出来たので、その過程の話になります。やや長文です。

 

この記事の著者
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就職できずに当時薬学生だった彼女のヒモを経て、ブロガーに(15年の交際を経て結婚!)。エンタメ分野のレビュー、感謝を綴ったエッセイが好評。当時の内容を綴ったノンフィクション小説「薬剤師国家試験に落ちた彼女を、僕は隣で見ていた」が電子書籍化しました!

『愛なんだ』が一番好きな理由

 なぜ人は涙を流すのか――

    大学三年生の時に、ゼミの論文で僕が調査した内容だ。泣く、というよりも、涙するという表現の方がしっくり来ていて、その違いを明確に定義することは出来なかった。それでも、

「最近いつ泣きましたか?」ではなく、

「最近いつ涙しましたか?」

 と聞くことで、質問の意図をなんとなく察してくれる人が多かったのは忘れられない。ナンパがてら、老若男女100人近くに聞きまくった。

 帰納的な結論としては、感情が溢れた時に涙が流れる、と言えるのだが、全く同じ質問でも恐ろしいほどに人それぞれで……ドラマを見て~という人もいたし、がんになって闘病して久々にうんちが出た時に涙が止まらなかったと語ってくれた人もいれば、担当の教授なんかには「あなたにはもったいなくて教えられない」と言われた記憶もある。

 人生の奥深いところにふれる質問にも関わらず、(教授を含めて)特に嫌な対応をされたこともなく。新たに生まれた縁もあったし、人と接する喜びを当時は感じていた。

 

 ……という経験を、玉置浩二『愛なんだ』を聞き続けることで、具体的には「きっと涙も愛なんだ」というフレーズを通して、思い出したのだ。

 先程述べた「感情が溢れた時に涙が流れる」とほぼ同意(たぶん)なのに、「涙も愛なんだ」という言い回しがたまらなく好きで、当時の論文に改めて結論付けたくなった。

 

 玉置浩二で一番好きな曲は? と誰にも聞かれたことはない。だが、この質問の答えは『愛なんだ』で決まっている。その理由から先に語り、本題に繫げたい。

 

 

 ブログを始めて8年目になる。文章で生活を続けていくために、筋トレをするようになった。

 体が重いと呼吸や思考も鈍りがちになるし、大好きなパンやケーキを食べ続けても太らない体作りのためである。でも、筋トレは本当に嫌い。大嫌い。サボったり効率化することは比較的得意だが、地道に行うことでしか成果が出ないため性に合わない。筋トレをする直前になると、試験勉強をする前に部屋の掃除に熱が入る学生と全く同じ論理で、やらなければならないことが急に整理される。

 部屋をクイックルワイパーで掃除し、髪を結んでヘアバンドをし、服装を着替え、プロテインをシェイクし、コーヒーを少量飲んで代謝を上げるイメージを持ち、、、といったルーティーンを、筋トレを止める言い訳を潰すために行うくらいだ。

 そして、そのスイッチを入れるためのスイッチが、

「始めることが愛なんだ」

「出来る何かが愛なんだ」

 という『愛なんだ』の一節に他ならない。

 非論理的かもしれないが、僕は筋トレを続けているわけではなく、3日置きに始めることが出来ている(←超重要)。ブログも同じだ。

 もし仮に、「続けることが愛なんだ」と歌詞に入っていれば、絶対に好きな曲にはなってはない。

 

 また、この一節に去年は救われた。積み重ねたと思ってきたものが0になったり、全てを失ったと思うことも人生では多い。お金や地位もあると思うが、僕の場合は「人」が真っ先に思い浮かぶ。この一年で、大切な人をなくした。

 

 人生に影響を与えてくれた祖父母が去年亡くなった。人生は親でほぼ決まる――今で言う親ガチャという考えを高校生の時から強烈に自負していた僕に、先祖の話をしてくれて大いに希望を与えてくれた。初孫ということで本当に可愛がってくれたのに、何も返せなかったなあ、、、と。

 もう一人は親友だ。人生の大部分を共有し合えた親友が、かつてはいた。コンサートに行かれた方は、玉置さんが父親と一緒に北海道の稚内から旭川まで歩く映像を見たと思う。あれを見て、大学時代に吉祥寺駅~三鷹駅を目隠しして、杖の代わりに傘を持って一緒に歩いたなあ……と。東南アジアでも歩いたし、数年後には彼の旅に付き合う形で、福岡県の小倉駅から採銅所駅まで一緒に歩いた。

 二人で歩いた道を車で通ったのだが、もう本当に楽しかった思い出しかなくて。

 

 生きていれば、失うことも多くなる。それでも、出来る何かを一つずつ始める。始めることだけに焦点を当てれば、出来なくはない場合が多かったりする。

 続けることが大事なんて、そんなことはわかっている。何かを続けるとか、期待に応えるとか、結果を出すとか、そういったことはとりあえず置いといて、まずは始める。始めてみるという行動に対して、僕は僕を肯定してきたし、何かを始める人を無条件に肯定する人生を送りたい。

 始めることが愛なんだ、出来る何かが愛なんだ、と。この肯定する気持ちを拡大解釈すると、

「生きていくんだ それで良いんだ」

 という『田園』の歌詞にも繋がっている。

 玉置さんが歌い続けてきたこの肯定は、この文章で記した僕の経験を通して、理解している、と結論づけたい。

 だから、『愛なんだ』にありがとう。

 

 本題に入ります。

 

『しあわせのランプ』の一節が響く

引用:しあわせのランプ | 玉置浩二 | ソニーミュージックオフィシャルサイト

 「幸せになるために生まれてきたんだから 好きな人と一緒にいなさい」

 玉置浩二『しあわせのランプ』の歌いだしの一節である。

 

 不躾かもしれないが、コンサートの最後に歌われていたこともあり、よりメッセージ性を感じ取ることが出来た。脳から全身にスッと言葉が馴染んでいくような。否定したくても否定出来ず、何一つ疑うことがない純度100%の共感とでも言うのだろうか。

 玉置さんはコンサートでMCを入れないこともあるし(僕が行ったコンサートでは)、マイクを置いて会場内に声を響き渡らせる超人的な歌唱力もあり、声の調子もとても良いように感じたこともあるかもしれない。

 どちらにしても、

 「幸せになるために生まれてきたんだから 好きな人と一緒にいなさい」

 という一節が、玉置さんの人生を通して最も伝えたいことのように、その日の僕には感じられたのだ。

 

 そして、予備校時代から15年ほど付き合ってきた彼女にプロポーズすることを決意した。

「結婚してください。ちゃんとそう伝えよう」

 

「結婚しないの?」と100回以上は互いに聞かれていると思う。それでも、15年も一緒にいたのに結婚という制度に至らなかった現実をふっ飛ばして、僕を突き動かしたのだ。前述したような、失った人たちと無意識に対比していた部分もあるのだと思う、

 今ある大切な人を絶対に失ってはいけないのだと感じたのだ。

 

『しあわせのランプ』には、もう一節触れたい。

「大切なことなんかわかってくるんだから 好きなことをやって生きなさい」

 20代前半の頃にこの曲を聞いても、おそらく何も響かなかっただろう。幸せの定義も好きなこともわからんし、好きなことの前にやりたいことがそもそもわからん。全ての歌手の歌詞同様に抽象的すぎる。感情移入させようとする魂胆が嫌いやし、そんなん響かんわ、と。僕の中の20代前半の僕はそう言っている。

 でも、捻くれた性根を持ちつつも、紆余曲折、試行錯誤を繰り返したことで、好きなことを仕事に出来ている、と客観的には言えるような現在を過ごしていると思う。

 少なくとも嫌なことはやらないし、人間関係や時間に縛られてもいない。ブログでお世話になっている各社担当さんも含めて、支えてくれる人の方が圧倒的に多い。

 そして、ブログの在り方も変えた。お世話になった人への挨拶などの意も含めて、自分がブロガーであることを徐々に明かしている。恥ずかしいが、単に稼ぐのではなく、ブログを手段にして人生に活かすべき段階に来ていると考えているのだ。

 

 もしかしたら、この判断は間違っているのかもしれない。けれど、始めることが愛 出来る何かが愛なんだよ と自分に言い聞かせる。だって、それが絶対的に正しいことは、誰よりも自分が理解しているから。

 続けるではなく、始める。そして、人が何かを始めることを肯定する。これは、もはや僕の宗教と言っても良い。僕という存在がある限り、揺るがない価値観だ。

 

 この記事を書いた理由としては、3日置きに(筋トレの間隔)感じているこれらの感情を、やはり感謝として伝えたかったってことです。両親に近い年齢ということもありますし、大切な人がいつまでも側にいるとは限らないことも身を以て今は理解しているわけで。この気持ちに至るまでの過程を考えると、あの時の~がなければ今はない、という連続なので、お世話になっている方々はもちろん、縁が切れた人もそう、険悪になった人も含め、やはり感謝があるんです。

 

 もちろん、この記事に綴ったように思えなくなることも今後あると思うけど、自分の新しい原点として綴っておきたいな、と。

 この文章を綴った時の気持ちから、また始められるように。

                           おわり

 

『しあわせのランプ』玉置浩二

『玉置浩二 Concert Tour 2022 故郷楽団 35th ANNIVERSARY 〜星路(みち)〜』より

「しあわせのランプ」
作詞:須藤晃・玉置浩二 作曲:玉置浩二

幸せになるために
生まれてきたんだから
好きな人と一緒にいなさい

大切なことなんか
わかってくるんだから
好きなことをやっていきなさい

それでもどうしても
やりきれなくなった時は

この空を見上げて
やさしかった頃のことを思って
なつかしくなったら
しあわせだって言って
笑っていなさい

もしも君のランプがなけりゃ
闇に迷う人がいるよ
友達がいるように
家族や仲間がいるように
僕には君がいなけりゃダメさ

この星を見つめて
めぐりあった頃のことを思って
逢いたくてたまんなかったら
さみしいよって言って もどってきなさい

幸せになるために
生まれてきたんだから
好きな人と一緒にいなさい

引用:【公式】玉置浩二 Koji Tamaki SALTMODERATE より

 

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コメント

  1. giovannna より:

    ご結婚おめでとうございます。
    数年見守ってきた読者の1人として、うれしい気持ちです。
    ”「続けることが愛なんだ」と歌詞に入っていれば、絶対に好きな曲にはなってはない”というところ、ももちゃんらしくて笑ってしまいました。
    確かに「続けることが愛」と言われたら、私もイヤだなあ。
    「いっしょにいたい」と思える人がいるのは素敵なことですよ。「結婚」という新たな関係の始まりを祝福します。

  2. momotoyuin より:

    ジョヴァンナさん
    ありがとうございます、、、! (プロポーズを了承してもらって)結婚しました~って記事はもうアップしなくて良いですかね・・・笑
    エッセイ書く時は、ジョヴァンナさんに好印象を持ってもらえるようなクオリティを、というのが、実は僕の基準だったりします。なので、ツッコミも含めて本当に嬉しいです。人生の本質は継続ってわかってるからこそ、イヤなんですよ……笑
    あと、個人事情主はやっぱ筋トレしかないですよねって、いつも思います(わかってくれると思ってますw)。
    ありがとうございます。正直なところ、マリッジブルーが終わらないです。。。それでも、ありがとうございます。今後とも宜しくお願い致します。