【2024年5月10日 追記・更新】
2022年4月28日に発売されたPS4・Nintendo Switch用ゲームソフト『黄昏ニ眠ル街』をクリアした感想・評価になります。ゲーム内容について記述しているので、ネタバレ注意です。
黄昏ニ眠ル街(タソガレ ニ ネムル マチ) とは
心おもむくままに、旅をしよう。
少女ユクモはご自慢の飛行船に乗り込み旅をする。 とある用事で訪れた東洋の街に到着した途端、飛行船が故障してしまう。 今にも墜落しそうな機体を操縦し、何とか陸地まで辿り着くものの、 降り立ったその地は霧で覆われ、眠りについたかのように静まり返っていた…
プレイ人数:1人
CERO:B
ジャンル:3D探索アドベンチャー
クリアした感想・評価
探索が全て。ゲームとしての面白みは非常に少ない
「黄昏ニ眠ル街」はデザイナーのnocrasが描く絵の世界を自由に探索することを目的として、自らが個人で開発したアドベンチャーゲームです。プレイヤーは少女ユクモとなり、世界中に隠された「大地の源」を集めて故障してしまった飛行船を修理しつつ、「黄昏の霧」に覆われた街の輝きを取り戻すことがゲームの目的となります。
コンポーザーのUjicoが作り上げた幻想的な音楽と、独特な東洋ファンタジー世界をお楽しみください。
ある程度プレイして感じていたことは、プレイステーションストアに体験版をリリースするために、そのデモ版を社内でプレイしてもらって感想を求めているような段階の作品、ということでした。ゲームとして未完成と言うか、ゲームの面白さを削いだ状態の作品という印象です。
ただ、この赤字で強調した導入文↑↑をクリア後に確認したのですが、まさにその通りとうか、納得することが出来ました。と言うのも、プレーヤーにゲームを楽しんでもらうことよりも、制作者の表現がメインになっているからです。
大地の源というアイテムを収集することがこのゲームの全てです。集めることで探索範囲が広がり、先のステージに進むことが出来るようになります。
アクションパズル要素がありますが、思考を巡らせたり達成感を得ることはなかったです。街のはずれにある聖域では、ゲーム内通貨を支払うことでスキップ可能なので、親切設計ではあります。
聖域をクリアしてすべての灯籠に火を灯すと、神木の加護が復活。街を覆っていた霧が晴れて、街が色づき、正常に戻ります。また、ジャンプ中にダッシュ・二段ジャンプ的なものを出来るようになったり、行けなかったエリアを探索できるようになる流れ。キャラの成長などの描写は0です。
街が正常に戻るとギミックも復活(画像では大ジャンプしてます)。後々、飛行船で探索出来るようになったり。
再度強調しますが、探索がメインであり、このゲームの全てです。基本的に、街を探索して大地の源を集めるだけのゲームでしかないので、プレイしてすぐに作業感が僕は生まれました。
キャラもストーリーもムービーもない
少女ユクモはご自慢の飛行船に乗り込み旅をする。 とある用事で訪れた東洋の街に到着した途端、飛行船が故障してしまう。 今にも墜落しそうな機体を操縦し、何とか陸地まで辿り着くものの、 降り立ったその地は霧で覆われ、眠りについたかのように静まり返っていた…
一応ストーリー↑↑はあるっちゃあるのですが、、、大地の源を収集して飛行船を修理するまでの話というだけ。
文字が出てくるだけで、没入感などの助けには一切ならない
ストーリーの抑揚は0に近く、ストーリーを楽しむ作品でないことは確かです。また、キャラクターも同様です。自己紹介をプレーヤーに印象付けるような演出やムービーがなく、キャラの成長も表情もなく、セリフもありません。
プレーヤーが操作するユクモは、表情が実装されていません。セーブポイントでは祈祷するように掌を合わせる動作があるものの、目はつむらない違和感。着せ替えよりも表情がほしかった
ネズ族のコガラ。飛空船が故障したことをきっかけに出会うキャラではありますが……
出会いと別れのセリフはあるのですが……。
ムービーやエピソード、演出も何もなし。。。一緒に何かをしたとかそういった描写もないです。出会いと別れについてプレーヤーに何かを訴えかけるわけでもなく、ただ挿入されただけのセリフが形骸化している、というのが二枚目の画像です。
なので、僕としては、この二人は「出会った」とも「別れた」とも言えないんじゃないかな……と思ったり。感覚的には、学生時代に単発バイトで出会った人みたいな印象でした。
その他、目的を邪魔する敵もいないですし、カタルシスもなく刺激もないので、終始好奇心がそそらることがなかったですね。また、ボリュームの少なさも気になりました。
世界観が良い、とも言えない
少女ユクモはご自慢の飛行船に乗り込み旅をする。とある用事で訪れた東洋の街に到着した途端、飛行船が故障してしまう。今にも墜落しそうな機体を操縦し、何とか陸地まで辿り着くものの、降り立ったその地は霧で覆われ、眠りについたかのように静まり返っていた…
このブログでも紹介してきたように、今まで数多くのソフトをプレイして、その世界観に魅了されてきました。(『グラビティデイズ』『大神』『サイバーパンク2077』『天穂のサクナヒメ』『ラストオブアス』『夜廻三』『Horizon~』などなど挙げればキリがないですが)
その経験から、僕が定義する世界観とは、、、部分集合と言うよりも、全体集合のイメージを指します。世界観が素晴らしいと評したくなるゲームは、グラフィック単一だけでなく、ストーリー・キャラ・音楽など、複数の魅力的な要素が相まって世界観を構成していると考えるからです。
しかし今作は、ストーリーもキャラも極めて薄く、幻想的と記載されていた音楽も特に印象には残りませんでした(サントラを聞き直せば変わるかもしれないですが、クリアした段階では)。魅力的に感じたのは、オリエンタルな建築物・飛行物の数々だけでしょうか。
画像を切り取ると非常に美しいのですが……
世界観の設定は面白いのですが、それが恐ろしいほどゲームに活かされていない
初回特典のアートブックを書籍として見れば、本当に素晴らしい世界観がそこには広がっています。ただ、それがゲームには活かされていないので、ゲームとしての世界観が素晴らしいとは言えない、というのが僕の考えになります。
探索メインなので、地図を購入することも出来ます。が……世界観に全くそぐわない地図に笑ってしまいました。見にくいので実用的でもない。
もっとこうした方が面白いのに……と他のゲームから学んだ要素があまりにも多すぎました(ただ、アートブックを見る限り、制作者もそこは理解していると思われます)。
その他・小ネタなど
丹精込めて作った壺をすべて破壊すると(そうしなければ大地の源が入手できないので仕方なく)、、、
プレイ中に唯一「フフッ」と笑った一コマ。このゲームの個人的なハイライトですかね。
フォトモード用に「#タソマチマップ」とシェアしましょう
終盤には、シューティングゲームのような一面も。意味もよくわからず、必要性もあまり理解出来ませんでした。
灯籠を20個見つけることで、大地の源が貰えまるのですが、どうしても見つからなかったので一度聖域をチェック。すると、19個見つけていた灯籠が0個になっていました。探索メインの作品でこのような要素は、控えめに言っても酷いですね……。
灯籠の火はロードを跨ぐと消えるので注意
本編よりも特典がメインだと思う
ゲーム内には一切表情がないネズ族ですが、イラストになるとこんなに可愛い。むしろ、こっちのデフォルメされたキャラを操作した方が良かったんじゃないかな、とか思ったり。
アートブック・サントラが初回特典でついてきます(たぶん)。アートブックは制作者の表現したいことがそのまま伝わりますし、読んでいて面白いです。
制作者にデザインの才能があるのは一目で伝わりますし、ゲームを創り上げた事実から行動力もあるのでしょう。それがパブリッシャーの目に留まる運もあり、人としては本当に凄い方なのだと思われますが、、、ただ、ゲームには全く反映されていません。
主人公ユクモの設定には、冒険好きでワイルドな性格と記載がありますが、ワイルドさを表現した演出はもちろん、ユクモの性格を伝えるような演出・描写は0。なぜ冒険好きで冒険しているのかさえ記述がない始末。謎が多いプロフィールは謎のままです。
GEO特典のラバーストラップ。ゲーム内のどの場面よりもかわいい。
クリア時間・クリア後
4時間くらい。クリア後は探索範囲が増えます。トロフィーも貰えると思います。クリア後の大地の源を全て集めるモチベは僕にはありませんでした。
まとめ
世界観という見どころがそれなりにあり、アートとしては素晴らしいと思います。ただ、ゲームとしてはあまり面白くなかったです(バグなどはないのでクソゲーとは言えない)。世界観を補足するためにも、購入する場合は初回特典付を強くおすすめします。
一人で作ったゲームに対してここまで本気で書くなよ、と言われても仕方ないですが、、、購入日にお金を払ってクリアした上で、真摯な気持ちで自身が感じたことを記事にし続けて現在に至るので(ブロガーとして好きなことをして生活出来ている矜持がある)、そこを曲げることは敬意に欠ける行為だと考えています。それとは別に、文章で不快にさせてしまった方には申し訳ありません。
ただ、この作品をパッケージ版で発売したという事実は、ゲーム業界やクリエイターの方々にとって素晴らしいことなのではないでしょうか。扉は開かれており、より多くの方にチャンスがあるということを証明したとも言えるのかな、と。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
【特典】黄昏ニ眠ル街 PS4版(【外付初回特典】オリジナルサウンドトラック、アートブック)
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