2024年8月29日にPS5版が発売された『インヴィンシブル(The Invincible)』をクリアした感想・評価、攻略情報などを綴っています。項によってはネタバレ注意です。
インヴィンシブル とは
SF界の巨匠が描く世界をゲーム化したSFスリラーアドベンチャー『インヴィンシブル』が遂に日本語化!
公式サイト:https://teyon.jp/games/the-invincible-jp/
ジャンル:SFスリラーアドベンチャー
プレイ人数:1人
CERO:B
クリアした感想・評価
どんなゲーム? ストーリーやゲームの流れなど
原作の前日譚
本作は、連合の敵である連邦側のオリジナルストーリーが描かれます。主人公のヤスナが所属する遠征隊「ドラゴンフライ号」は、本部からインヴィンシブル号の情報を受信して、先にレギス星に向かうように命じられます。しかし、ヤスナの仲間たちがこの惑星で行方不明になり、宇宙船でサポートしていたヤスナが救出に向かう所からストーリーが始まります。
僕が本作に興味を持った理由は、原作小説:砂漠の惑星(後述)が高評価だったからです。結論から言うと、原作を知らないままプレイして、とても楽しめました。
遠征隊「ドラゴンフライ号」の隊員たちは、舞台になる惑星で離れ離れになってしまいます。プレーヤーが操作する主人公ヤスナは、行方不明になった仲間を見つけるために単独で惑星を探索する、、、みたいな流れですね。
ヤスナのコンセプトアート。強いメンタルを持った生物学者の女性
ログや地図、記録が残されており、それらを頼りに少しずつ情報を集めていきます。
惑星には様々な機械があり、、、
もちろん、順風満帆ではありません。孤独の描き方、心拍の乱れ、助からないかもしれないという危機感もあります。原作を含め、事前の情報なしでプレイした方がドキドキ・ワクワクして楽しめるでしょう。
サスペンス要素も多いにあるんですよ。これが本作の魅力だ僕は思いました。SFですが現実と離れすぎておらず、興味深いのも◎。
最初は『フォートソリス』っぽいのかな? と思ってましたが、違いましたね。プレイする映画のよう、という意味では似ています。
世界が美しい
圧倒的自然美
レギス星の茫漠とした砂漠から、海、薄暗い洞窟だけでなく、小説の雰囲気に合わせて惑星レギスの美しくも不気味な世界がビジュアル化されています。
PS5だからこそのゲームプレイだとも言えるでしょう。余談ですが、PS5はなんであんなに値上げしちゃったんでしょうね。半導体や部品の高騰だと思われますが、PS6以降が不安になります。Switch次世代機も含めて、ゲーム機を満足に買えない時代にならないと良いのですが。
探索はあるが、収集要素はない
独特の惑星を探検
プレイヤーは主人公ヤスナの視点でレギス星の砂漠や洞窟などを歩いたり、車両で移動して探検しまわります。ヤスナに危機が迫れば、呼吸が荒くなってヘルメットに吐息が出たり、雨が降ればヘルメットに水滴がつき、探知器などの装備品を通じて地表に潜む金属も見れる演出など、一人称視点ならではの臨場感を体験することができます。
ゲームを始めて30分くらいは退屈かもしれません。面白くなさそ~と奥さんに言われましたし、僕自身の眠くなって「失敗したかな?」と思いました。しかし!! 最初だけでしたね。大きく展開が動くだけでなく、探索も快適に出来るようになり、謎も徐々に深まります。
道が多岐に渡っているので迷いがち……と思いきや、そうでもない。どこに行けば良いのかわからないようで、上記のように案内が入るので進行が止まることはないです。ほぼ一本道です。
ただし、トロフィーコンプを目指すならば隅々まで見る必要あるでしょう。あとは、収集要素があるとなお良かったと思います。まあ、砂漠の惑星という舞台上、仕方ないとは思います。
“アトムパンク”なデザイン
本作で登場するロボットから装備品や車両は、1960年代のSF映画やコミックなどに影響を受けた「アトムパンク」というレトロフューチャーなスタイルで仕上げ、BGMもどこか懐かしい昔見たことあるようなSF映画の雰囲気を演出します。
惑星探査車も登場します。運転する視点を変更出来るのも◎。ちなみに、デザインも三種類用意されています。オプションから変更可能です。
コミックモードが素晴らしい!!
今までプレーヤーが選択したことで生まれた流れ(ストーリー)を、把握することができます。
ヤスナの描写が少ないと書きましたが、ヤスナの周りの仲間たちとのエピソードなども描かれており、ほっこりしますね(遠征隊で希少物質を見つけた話など)。これにより、今何をしているのかが明瞭になります。ストーリーがわからなくなることがなくなりますよね。絵のタッチが好きですし、没入感も深まります。
高グラフィックだけでなく、デフォルメしたアニメ調のキャラなどを描く作品は好印象を受けます。FF16なんかもそうでした。
選択次第で展開が変わる。マルチエンディング
マルチエンディング
映画のように進行する本作にはゲームオーバーがなく、必ずエンディングまで到達できます。しかし、プレイ中の会話や行動はマルチ選択タイプで、その選択次第でエンディング自体にも影響を与えることもあるため、常にどの選択が良いのか悪いのか、緊張感を感じながらプレイできるのも本作の特徴です。
本作はマルチエンディングです。
驚いたのが、なんと11種類もあること。僕が確認したのは代表例に挙げられるような2種類ですが、ネタバレの動画を見たことで笑ってしまうエンディングもありました。エンディングの到達条件も含め、下の項で紹介しています(英語です)。
人間とロボットについてあれこれ効かれることが多い
選択肢はこんな感じ。『デトロイトビカムヒューマン』のような未来につながっていそう、とか思ってました。
気になる点も多い
バグで手が4本に。余談ですが、宿儺が消化器を投げたシーンはなんか悲しかったです。
主人公:ヤスナの描写が足りない。どういう人なのか、という情報があまりない(選択次第で展開が変わるため、プレーヤーに委ねている部分はあると思う)
シューティング要素があります。操作方法の説明などなく、急に撃たなければならないため、戸惑いました。
小ネタ・その他
『エイリアン・アイソレーション』みたいな宇宙船。リメイクしてくれないかなと思っている作品。
人類の誕生は 宇宙史上最悪の出来事かとさえ考える
本作は日本語吹き替えはありません。ただ、日本語字幕は完璧です。上記のような哲学めいた考えもしっかりと伝わります。生物の進化やそれによる弊害の話が多かったですね。だからこそ、SFなのに現実味を感じたのでしょう。
一応、宇宙の惑星を探索する題材なので、スペースワールドの記事を置いときます
【Amazon.co.jp限定】特製デジタルコミックとコンセプトアート
特製デジタルコミックには、未知なる砂漠の惑星に不時着した宇宙飛行士の短編物語が描かれるサイドストーリー「知られざる悲話」が収録されています。また、原作の小説を基にスタニスワフ・レム氏が思い描いた世界を本ゲームの開発者の視点でビジュアル化したコンセプトアートも収録されています。
Amazon限定の特典もおすすめです。事前予約の段階で見ることが出来たのですが、クリア後じゃないと全然意味がわかんなかったんですよ。しかし、クリア後に見ると、とても良かったですね。
コミックは本作よりも時系列的には前の話ですね。クリアしないとわからないと思います。
コンセプトアート。数枚しかないので、もうちょっと欲しかった。
原作「砂漠の惑星」
原作『インヴィンシブル』(旧邦題:「砂漠の惑星」1964年出版)の舞台は、人類が惑星間連邦と超宇宙連合の二つに分かれて、様々な惑星で資源を採掘して競争する未来社会。
本作のタイトルでもある連合の巨大宇宙船「インヴィンシブル号」が、未知の惑星レギスIIIで行方不明になった「コンドル号」の救出に向かう。そこで、彼らは砂漠だけのはずの惑星でコンドル号を全滅させた正体不明の≪何か≫に遭遇するのであった…。
中古しかないようです。
クリア時間・クリア後
クリア時間は、5~7時間くらいでしょうか。クリア後は、チャプター選択が可能です(最後のチャプターを選択することで、マルチエンディングの回収をしやすくなる)。
攻略情報
クリアまでの通し動画
ネタバレ
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ストーリー要約
ハエは知的生命体のよう
ヤスナは仲間の隊員を見つけるが、全員が人形のように動かなくなってしまっていた(その後、全員死亡)。その原因は、金属の物質が惑星で進化したことにあると知る。
かつて、この惑星で基地を作っていた連合は、金属の茂みにある「果実↑↑」を採取していた。ヤスナは、それらが電磁場を生成し「ハエ」と定義していたことを知る。この「ハエ」が集まった雲 のせいで、連合が全滅したことを知る(ヤスナも襲われるが逃げることに成功)。
ヤスナは、生存者:ロヒトラを発見するが、拘束されてしまう。脱出に成功したヤスナは、ロヒトラはハエのせいで記憶を失っており、428日間同じ行動・同じメッセージを送り続けていたことを知る。ロヒトラの部隊では最後の生き残りでもあったため、その事実に絶望するロヒトラ。ヤスナとともに、ハエに復讐をすることを誓う。
しかし、ハエの集合体:雲 の前にロヒトラ自慢の兵器:サイクロプスがやられてしまう。ハエは、この惑星で進化を繰り返して現在に至っており、無敵であると推測される。
そんな中、ハエに水素爆弾を雲に放つか、救助待ちでインヴィンシブル号(小説原作につながる)を待つかの二択を迫られる。
~ここの選択がマルチエンディングの大きな分岐~
インヴィンシブル号を待つと言いながらも、一人で探索するヤスナ。ハエを放つと、ヤスナの顔を模しておしまい。ハエには意思というか、知的生命体であることがわかる。
水素爆弾を投下すると、、、
全く歯が立たず。ハエが襲ってきておしまい。人類は勝てませんでした。
全エンディング
僕が確認したのは、1と2だけ。ロヒトラをガン無視して一人で脱出する選択には笑いました。ハエには絶対に勝てない、というオチは変わらないようです。
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まとめ
(人を選ぶ作品ではあると思いますが)面白かったです! もうちょっと~して欲しかった、という点は多かったですが、概ね楽しめました。
SFではあるんですが、生物の進化を論理的に語ってくれたところは好印象でしたね。ヤスナが考察しながら謎を解きつつ、最終的にどのような選択をするのか、というプロット(構成)も美しいと思いました。サクッと名作をクリアしたい人にはおすすめです。
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